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____(ございました!) ページ17

「お爺様は、僕が何をしても見向きすらしてくれなかったんです。習い事で結果を出しても、勉強で結果を出しても、両親に僕に出すお金があるなら義人に、弟に使えって言うばっかりで……必死に勉強して東大に合格した報告をした時でさえ、興味無さそうな目で「だからなんだ」って言われて……。」


話の内容も然ることながら、初めて聞く一人称に戸惑った。

いわゆる僕っ子、と言うやつなのだろう。

Aさんはいつも「私」とか「自分」とかって言っていたから、意外だった。

彼女は多くの人に愛されて、大切にされて、それでも唯一お爺さんに「女だから」という理由で蔑まれたことが悔しくて悔しくて仕方ないんだろう。


「お爺様を見返してやろうってずっと頑張ってきたのに……結局、1度も達成出来ずにお爺様は亡くなった。……それで、昨日はちょっとぼーっとしてたんです。燃え尽き症候群、ってやつですかね。」


未だに涙を流しながらへらりと笑う彼女の手を、両手でしっかりと包み込んだ。

ここで俺が認めるなんて言ったところで、なんの意味もないだろう。

Aさんの中で、一生埋まらない穴として心の中に存在し続けるだろう。


……それでも、少しでも前を向けるように。

いつか忘れるために。


「今まで、いっぱい頑張ったんだな。お疲れ様。一旦休もうぜ。そして休んだら、また俺たちと楽しいことしようぜ。」


彼女の頬を、次から次に涙が伝う。


「うん……うん……。」


Aさんが俺の片手を両手で握り、握手するような形になる。

彼女は、しばらくの間泣いていた。



帰り道、再び2人並んで歩く。

Aさんが泣き止んで以降、他愛ない話しかしてない。

俺、一応告白したんだけど……。

でも、今更自分で告白したことを掘り返すことも出来ない。

もどかしさの中このまま失恋するのかな、なんて思っていると、人気がなくなったところでAさんが数歩前に躍り出た。


「伊沢さん。」

「うん?」

「私も、伊沢さんのこと好きですよ。」

「えっ、じゃあ……」

「不束者ですが、よろしくお願いします。」


外でなければ、強く抱き締めていただろう。

こうして、俺たちは恋人となった。



後日、俺が志賀に「Aから聞きましたよ」と微笑ましい笑顔を向けられ、それを聞いていた河村さんに「やっとか、良かったな」と呆れた様に祝福され、たまたま通り掛かったこうちゃんに「え、何事!?」と迫られたのを、少し遠くのAさんは笑って見ていた。

推し事vs誕生日ーsgiー→←____(ありがとう)



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設定タグ:QuizKnock , QK , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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辰海恋歌(プロフ) - あすさん» 早速読んでいただきありがとうございます。この後どうなるかも一応考えてはいますが、次回の短編集のテーマとは少し合わないと思うのですぐに公開、という訳ではありませんが、必ずあす様の目に留まる形に致しますのでしばらくお待ちください。よろしくお願いします。 (2021年11月5日 0時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - 辰海恋歌さん» 早速続き拝見しました!fkrさんが詰め寄る感じいいですね!続編?半年後fkrさんとどうなっているのか気になります! (2021年11月4日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» こんばんは!そういって頂けてとても嬉しいです!最後まで気に入って頂けますと幸いです。 (2021年11月4日 20時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)
あす(プロフ) - こんばんは!結ばれる悲劇、終わらない悲劇を読んで切なくもありますがとても気に入りました!続きが気になります… (2021年11月3日 22時) (レス) id: 14b7e1c0b8 (このIDを非表示/違反報告)
辰海恋歌(プロフ) - あすさん» いえいえ!気に入っていただけて良かったです!! (2021年7月17日 23時) (レス) id: e014f887e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:辰海恋歌 | 作成日時:2021年5月19日 16時

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