【弱虫ペダル】不器用な恋愛事情【荒北靖友】

8話　諦めがいいのか、悪いのか。 ページ9

思わぬ、予想外の人と出会った。
名前は知ってる。荒北靖友君。
一年の時、同じクラスだったのを私は覚えている。
でも、覚えている理由が、ヤンキーでモヒカン、そして何より、………

………怖い人。

それしか印象付いていない荒北君に、私は無意識に身をよじった。
でも、一年の時よりは雰囲気が変わっているような気がする。
髪型も、モヒカンから、サラサラとした触り心地が良さそうな髪型になり、少し、少しだけ、前までの印象からは離れている……………気がする。
なんて思っていた私は、ハッと突然何かに気付いたように、キョロキョロと周りを見た。
幸いにも図書室には私と、荒北君しか居なくて、今さっきまで私が、荒北君の顔をじーっと見ていた事を誰も見ていなかった事にホッとして、肩を落とした。
それから、荒北君から離れ、私は本を探し始めた。
そう言えば、マネの件はどうしようか。
もう、諦めるしかないのか。
………諦めるか。
そう思うと私は、少しだけ心がフワリと軽くなり、何の縛りに縛られいない快感を覚えた。
そうだよ、一生懸命頑張ればいいじゃないか。
家族も許してくれるはずだ。
マネになるなら、やっぱり自転車知識をしらないといけないのか？
そう思った私は、いつも読んでいる小説がある本棚から離れ、スポーツ関連のマネになる前の私には、一切関係ない本棚に行った。
『えーっと、自転車、自転車………』
独り言を呟きながらも、本棚から自転車関連の本を探し始める。
『あ、あった、あったー』
と、見つけたのはいいもの、自転車関連の本は一番上のほうにあり、私の身長じゃ取れなかった。
だが、背伸びをすると、ギリギリ取れそうな高さにあり、力を全部使うように思いっきり背伸びをして取ろうとした。
『ん〜っ！！あと、ちょっとぉぉぉ！！………って、わぁぁぁぁ！！』
背伸びのし過ぎで、私はバランスをくずして後ろに倒れていった。

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