川上さんと初デートに行く話。8 ページ8
電車を降りると、そこはさすが日本で利用者が多い駅トップ3に名を連ねる駅。
人が多くて歩くのさえ困難だ。
なんとか人の間をすり抜けながら、私は東口と書かれた方に足を進める。
このまま迷わなければ、おそらく待ち合わせ時間ジャストくらいには到着できそうだ。
なぜ私はいつも待ち合わせの少し前に着くことができないのかと、自分の時間管理の甘さを恨めしく思う。
半ば泣きそうになりながら、私は必死に走った。
ようやく待ち合わせ場所である東急ハンズが見えてきたところで、一人だけ輝くオーラを放つ彼の姿を捉える。
やっぱり、私の方が遅かった…。
公園の時もさることながら、再び彼のことを待たせてしまったことを申し訳なく思い、私は彼の前にスライディングで登場した。
『川上さんごめんなさい！またお待たせしてしまって…』
スマホ画面を見つめていた彼が、私に声をかけられた瞬間すぐにスマホをしまった。
「全然ええよ。てか、別に遅れてないやん」
『いえ、遅れてはいなくてもお待たせしてしまったので！』
淡いクリーム色のワンピースに薄手のカーディガンを合わせた私。
いつもよりメイクを頑張ってみたのだが、走ったせいで少しだけ崩れてしまったかもしれない。
改めて時間に余裕を持つことの重要さを思い知らされた私は、彼とのデートを前に早速しょんぼりとしてしまった。
「女の子は準備が大変やろうし、そんなことでいちいち怒らんて」
彼が苦笑いをしながら、私に手を差し伸べてくれる。
その意図が分からない私は、差し出された手と彼の顔を交互に見つめた。
「えーと…できれば説明したくないんやけど」
気まずそうにしている彼の言葉によって、ようやくその意味に気づいた私は、慌てて彼のその手をゆっくりと取った。
「ん、じゃあ行こうか」
それを満足そうに見つめた彼は、私の手をギュッと握り、水族館を目指して歩き出す。
川上さんて…こんなにサラッと女の子をエスコートしちゃえる人なんだ！？
少し失礼かもしれないが、私は完全に彼のことを奥手な人だとばかり思い込んでいた。
想像より遥か上を行く彼に胸のときめきが隠せない私は、始まったばかりのデートでこれから自分がどれほどドキドキさせられてしまうのか、今から緊張してしまうのだった。
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Annie(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、コメントありがとうございます。大事にお読みいただけて、本当に嬉しく思います。出来るだけ現実を忘れられるような、幸せなお話が書きたかったもので…。そう感じていただけて、私の方がお礼を申し上げなければならないくらいです。ありがとうございます。 (2020年7月2日 21時) (
レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 後書きがある時点で今後は書かれることはないのだろう、と大事に大事に読ませていただきました。私も読みながら泣いちゃいました。このお話のkwkmさんが優しくて、消化出来ない色んな気持ちを大丈夫だよって勝手に言ってもらえたようでした。ありがとうございます。 (2020年7月2日 11時) (レス) id: f0ee8abf5f (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんお読みくださいましてありがとうございました。温かいコメントをいただけて、本当に書いてよかったと心から思っています。これからも他のメンバーのお話を書いていければと思っていますので、引き続きお付き合いいただけましたら嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - 217さん» リクエストありがとうございました。絶対に今日中に書き上げなければと23:57に滑り込みで公開させていただきました。現実からかけ離れて、楽しんで読んでいただけることを願いながら書きました。宝物と言っていただけて、本当に涙が出るくらい嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました…！ (2020年7月1日 7時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Annie
| 作者ホームページ：https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時：2020年6月30日 23時
