川上さんと初デートに行く話。12 ページ12
その後、腕時計を確認すると時刻は午後3時を回っていて。
そろそろおやつの時間だとソワソワしていると、
「…今甘いもの食べたいと思っとるやろ」
と、なぜか彼に見透かされてしまい。
『なんで分かるんですか!?』
と彼のことをエスパーか何かだと思い込む私。
「いや、いつもこの時間お菓子の袋を盛大に開けてる頃やから」
彼の言葉に、私は恥ずかしさのあまり顔を両手で覆った。
いつも呑気にお菓子を食べている様子を彼に見られていた…
ショックのあまり言葉にできない私は、なかなか彼の顔を見ることができない。
「ほら、あそこにアイス屋あるから」
彼のその一言で私は顔を覆う手を退けて、瞬時に彼の指差す方向に目を向けた。
私のオアシスが、確かにそこにあった。
一目散に駆け出して行く私を、彼が後ろで「ちょっ」と言いながら慌てて追ってきてくれていたのを感じながら、私はオアシスへと足を踏み入れる。
『チョコミントをコーンでください!!!』
目を輝かせながら大きな声でそう叫ぶと、店員さん苦笑いしながらコーンにアイスクリームを盛り付け始めた。
『川上さんはどれにしますか!?』
突然走り出した私をジロっと見つめた彼が、
「いや、俺はいらんから」
とぶっきらぼうに言い放った。
美味しいのに、と思いながら私はお金を支払い、アイスを受け取る。
私が早速小さなスプーンで掬った一口を口に含み、その爽やかさと甘さに顔を綻ばせた。
やっぱり夏はチョコミントだな。
いや、冬に食べても勿論美味しいけど。
ニコニコしながら次々とアイスを食べ進める私の顔を見て、
「よくそんな歯磨き粉味が食べられるな」
と彼が眉をひそめる。
その一言により、私はクワッと険しい顔をして
『チョコミントへの暴言は止めてください!こんなに美味しいんですから!』
と反論。
まさか彼がチョコミントアンチだったとは、としょんぼりしながら、私は無心でアイスを食べる。
すると。
「…ついてる」
ぼそっと何かを呟いた彼の方を見上げると、不意に私の唇の端に彼の指先が触れた。
彼はそのまま指先についたものを、小さく舌を出してぺろりと舐め取ったのだった。
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Annie(プロフ) - ひなたさん» ひなたさん、コメントありがとうございます。大事にお読みいただけて、本当に嬉しく思います。出来るだけ現実を忘れられるような、幸せなお話が書きたかったもので…。そう感じていただけて、私の方がお礼を申し上げなければならないくらいです。ありがとうございます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ひなた(プロフ) - 後書きがある時点で今後は書かれることはないのだろう、と大事に大事に読ませていただきました。私も読みながら泣いちゃいました。このお話のkwkmさんが優しくて、消化出来ない色んな気持ちを大丈夫だよって勝手に言ってもらえたようでした。ありがとうございます。 (2020年7月2日 11時) (レス) id: f0ee8abf5f (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - ゆうかさん» ゆうかさんお読みくださいましてありがとうございました。温かいコメントをいただけて、本当に書いてよかったと心から思っています。これからも他のメンバーのお話を書いていければと思っていますので、引き続きお付き合いいただけましたら嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
Annie(プロフ) - 217さん» リクエストありがとうございました。絶対に今日中に書き上げなければと23:57に滑り込みで公開させていただきました。現実からかけ離れて、楽しんで読んでいただけることを願いながら書きました。宝物と言っていただけて、本当に涙が出るくらい嬉しいです。 (2020年7月1日 12時) (レス) id: 8c53967ba8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました…! (2020年7月1日 7時) (レス) id: 41b5f36188 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Annie | 作者ホームページ:https://twitter.com/kmu_annie?s=09
作成日時:2020年6月30日 23時