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#139_Round and Round / side_H ページ23

*ヒロさん視点のお話になります





「じゃあなんか食いに行こうか」
誰かにそう話し掛ける洋平の声が聞こえた。




そう言えばこの前のライブ終わり、
俺、飯に誘ってもらえなかったんだよなあ。
呑みに行くのかと思ったからとか言われて。




だからってそういう理由で誘ってもらえないのは
ちょっと寂しいんだけどって思ったから、
「俺も飯行きたい」って後ろから声を掛けた。




「え？」




俺の言葉に洋平が迷惑そうに振り向く。




「なんだよ、そんな顔しなくてもいいだろ」

「いやいや、ちょっとは気ぃ利かせてよ」

「は？」




なんで洋平に気を利かせなきゃいけないの？って思ったら
洋平の体の陰から洋平の彼女であるAちゃんが
ひょっこりと顔を見せた。




「ヒロさんもぜひ一緒に行きましょ！」

「あ、Aちゃん来てたの！？」

「はい、お久しぶりです」

「うん、久しぶりだね」

「洋平さんにメールしたらちょうど近くで仕事してるって言うから寄らせてもらいました」

「そうなんだね。確かに俺、気が利かなかったわ。
来てるの知らなかったからごめんね」

「いえ、全然。
それよりヒロさんも一緒にご飯行きませんか？」

「いやいや、遠慮しとくよ。
会うの久しぶりなんでしょ？」

「ヒロさんに会うのも久しぶりですよ？」

「ははっ、確かにそうだけど・・・」




それは洋平と久しぶりに会うのとは
意味が違うわけだしね。




「私、ヒロさんともご飯食べたいです」

「いやー、でも、ね・・・」

「洋平さんもいいですよね？」




Aちゃんからそう振られて、
俺を見る洋平の目つきが鋭い。




あー、もう、こいつ、
なんで飯行きたいって声掛けたんだよって
絶対思ってる。


言っとくけど、
俺、一度ちゃんと断ったからね？


それを誘ってきてるのは、
お前の彼女の方だから！




「・・・そうだね、いいよ！」




俺に見せた鋭い目線から一転して、
Aちゃんに向けた顔は満面の笑み。




うわー、こいつ本当は嫌なクセに
Aちゃんの前だからっていい顔したよ。




「よしっ、じゃあ3人で飯行こうぜ！」




ガシッと肩を組んできた洋平の腕が
心なしか首を絞めに来てるように感じるのは
たぶん気のせいじゃないだろう。





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