&...［8］

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それから数ヶ月が過ぎたライブ当日。




会場までは電車で行くからって、
我が家の駐車場に車を置きに来たAちゃんが
わざわざ部屋まで顔を見せに来てくれた。




「近くまで来てるのに素通りしちゃうのも
どうかなって思って」




そんな可愛いこと言ってくれちゃうから
思わずニヤニヤしちゃいそうだったけど、


彼女の格好を見たら
俺の気持ちは一瞬で曇り空になった。




「・・・なんか、いつもより可愛くない？」

「え、そうですか？
あ、お洒落に見えるようにって思って
多少頑張りましたけど」




いや、いんだよ？
可愛いのはいいんだけど。




お気に入りなそいつのライブに行く為に
頑張ってお洒落したとか言われちゃうとさ、




しかもいつもより確実に可愛くなってることが、
またなんとも言えない複雑な気分にさせられる。




「あ、じゃあそろそろ時間無くなっちゃうので
行ってきますね」

「あー、うん。気を付けてね」




“はいっ！” って、無邪気な笑顔を見せながら
俺の嫉妬心にまるで気が付く様子もなく、
Aちゃんは楽しみにしていたライブへと出掛けて行った。




彼女が出掛けた後、
俺はずっとそわそわしっ放しで




何時から開演なのかな？ なんて、
そいつのライブ情報を調べたり


どの曲が好きなのかな？ なんて、
そいつの曲を聴いてみちゃったり。




お気に入りって言うけど、
どこが好きなのかな？


曲だけなのかな？それとも歌詞？
歌声とか、もしかしたら見た目とかも？




そんな風に考え始めたらキリがなくて、
片っ端からそいつのことを調べ始めてしまった。




いや、これじゃあ俺がそいつのこと
好きみたいじゃん！


なんか嵌められたような気がして
すっげぇムカつくな！




彼女が帰って来るまで、
とにかく落ち着かない時間が続いた。





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