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久し振りに訪れた万事屋は、予想通り暇そうな銀さんがジャンプを読んでいた。
一瞬副長に相談するのも考えたのだけれど、やっぱり忙しそうなので、ここは暇を持て余すこの人(失礼)に相談するしかないと思ったのだ。
「よぉ、A。どうかしたか?」
「こんにちは。えーとその、ちょっと相談がありまして」
言葉を濁しつつ、靴を脱いで中に上がると、神楽ちゃんと新八君の姿は見当たらなかった。定春君もいないし、もしかすると二人で散歩に行っているのかもしれない。
「いーよ。一回千円ね」
「うわ、相談でお金取るんですか?また仕事ないんですね」
「うるせーや」
ほれ早く、と言わんばかりに手を出す銀さんに、小さく溜息が零れる。
どうせこの様子だと、また毎日TKG続きなんだろうな。栄養偏るっての。
それで前みたく風邪引いたらどうすんだ。
とは思うものの、やはり同情は感じるので素直に出すと、「え、マジでくれんの!?やった!!」と喜んでいた。ここまで喜ばれると最早哀れみしか感じない。
「それでですね、相談というのは『どうせ沖田君絡みだろ』……う」
何か久し振りに遮られた。しかも合ってるし。
頷いてソファーに腰かけると、銀さんも対面に座り、耳の穴に小指を突っ込んだ。おいやめろって。
「神楽が言ってたぞ。Aが沖田君に距離取られて落ち込んでるって。きっと疲れてるに違いない、ってさ」
「あー……。まぁそうなんですけど、どうも疲れてそうなってるとは思えないんですよねぇ……。認めたくない事に」
「認めたくないのかよ」
「そりゃまあ」
呆れた顔をする銀さんに、出来るだけ私は簡単に悩みを相談した。
自分が原因で沖田隊長と気まずい関係になってしまったことや、それに対する自分の理解不能の気持ち、その他もろもろ。
「――っていうことなんですけど」
こんなので分かるのか不安になりつつ銀さんを見ると、彼は腕組みをして「なるほどな、はいはい」と気の無い声で呟いた。
なるほどな、って分かったんだ。流石は洞察力が優れているだけはあるというか、何と言うか。
「あの、これってどういう事だと思います?」
思わず身を乗り出して銀さんの言葉を促すと、
「そりゃーお前、アレだろ」
「…アレ、って?」
首を傾げて聞き返すと、銀さんはちらりと片目で私を見た。
「だから。
――お前、沖田君が気になってんだよ」
「……」
……は?
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伽那 - 一言で言うとこれめっちゃ好き (2019年11月26日 22時) (レス) id: dad38348f0 (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - 沖田総悟さん» ありがとうございます!!もう!受験早く終われ!!!(泣)じわじわ更新ですが頑張ります! (2018年1月5日 8時) (レス) id: 3282eb2821 (このIDを非表示/違反報告)
沖田総悟 - とっても面白かったです!!キュンキュンもするし、見ながら泣きました‥。更新がんばってください!そして、受験ガンバってくださいね!!応援してます!! (2018年1月4日 19時) (レス) id: b86e1fcd7d (このIDを非表示/違反報告)
霜夜華(プロフ) - にんじん さん» あぁありがとうございます!!(泣)あと9日なんですよねー……ハハ。頑張ります! (2018年1月4日 14時) (レス) id: e79ecf6629 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - 受験頑張ってください!応援してます! (2018年1月4日 14時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜夜華 | 作成日時:2017年9月29日 20時