【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室《短編集》

【成宮＆原田の場合(6)】 ページ40

雑誌に載ってしまった御幸との写真のゴタゴタから数日後。
部員だけでなく、クラスメイトからも色々聞かれてうんざりしていたある日…

バッタアアァァン！！

「Aさんっ！！コレは何なのさっ！！」

「鳴…少し落ち着け…」

相変わらずドアを壊しそうな勢いで開いて入ってきたのは、稲実の成宮君。
今日は珍しく原田君も一緒らしい。

「…成宮君…もういっそウチに転校してきたら？」

「この写真何っ！？一也と付き合ってんの！？」

振り返った私の鼻先に、もう見慣れた雑誌のページがつき出された。
この雑誌、女の子向けのはずなんだけど…なんで成宮君が持ってんだろう…。

「…付き合ってないよ…」

「本っ当に！？」

力なく答えると、雑誌が引っ込んで代わりに成宮君の顔がズイッと近付いてくる。
プウッと頬を膨らませて睨まれて…

えっと…どうして私は、他校の知り合い相手に、妻に浮気を追及されてる旦那のような心境にならなきゃいけないんだろう…。

「…月原。」

その時、成宮君を押し退けて原田君が目の前にやってきた。
私の肩にポンッと両手を置いて、何やら神妙な顔で…

「御幸だけはやめとけ。」

「だから違うんだってば。…ってか、原田君…よっぽど御幸のこと嫌いなんだね…」

「…御幸に…獲られるくらいなら…」

そう言って、原田君が真剣な顔で何かを言いかけた時。

「ちょっと雅さん！何マジモードになってんの！？Aさんは俺のだからね！」

グイッと私と原田君の間に割って入りながら、成宮君が言った。

「お前のじゃねぇだろ…」

「俺のなの！」

「…成宮君…とりあえず、私はモノじゃない…」

そう言うと、成宮君がクリッと振り向いた。

「だいたい、Aさんも隙があり過ぎ！だからあんな写真撮られるんだよ！」

「えっ？私のせい？」

「…そんなに隙だらけだと…」

ズイッと、急に真顔の成宮君の顔がアップになった。

「…奪っちゃうよ？」

その言葉の意味を理解する前に、成宮君が伏し目がちになりながら顔を近付けてきて…
もしかしてコレ、まずいんじゃ…と、思った瞬間。
ゴッ、と、鈍い音がした。

「っ！！いっでえぇっ！！」

「何やってんだお前は。」

どうやら、原田君の鉄拳が成宮君の頭に炸裂したらしい。

「月原、すまん。鳴！頭冷やせ！帰るぞ！」

「Aさんっ！今度は俺と一緒に雑誌に載ろうねー！」

ずりずりと、いつかと同じように原田君が成宮君を引きずりながら部屋から出ていった…。

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