【伊佐敷純の場合(3)】 ページ37
ダダダダダダダダッ
バッタアアァンッ
「Aーっ!!」
「……今度は純か……」
先ほど閉まったたばかりの扉をまた開かれ、半目で入り口を振り返ってみると、ゼェゼェと肩で息をしながら純が立っていた。
その手には、あの雑誌が握られている。
「純……その雑誌……」
「さ、さっき、夏川と梅本が、高笑いしながら見せに来て…借りてきた。」
やっぱりあいつらか!
「んなことより!お、おまっ、これ、こ、この写真っ…!」
「……写真が何?」
「だから!お前、み、御幸と…つつつ付き合って…」
「んなわけないでしょ!それは唯と幸子が勝手に撮って送っただけ!」
「にしたって、やけに顔近いじゃねぇか!赤くなってるし!」
「〜〜〜っ、だから、それは…!」
あー、もう!
説明するのが面倒臭い!
私はズンズンと純に近寄っていき、そのままグイッと顔を近付けた。
あの時の私と御幸の距離とほぼ同じ、鼻先10センチ。
「んなっ、A…!」
視線を逸らさず、ジィッと見つめると、予想通り純は顔を赤くしてひるんでしまう。
「あの時、御幸は嫌がらせでこうやって私に近付いたの!…たとえ何とも思ってない相手でも、不意討ちでこれだけ近付かれたら恥ずかしいでしょ?」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
話している間にも、純の顔はますます赤くなっていき、ちょっとやりすぎたかな?と思ったその時。
純が片手を伸ばして、ゴツゴツした掌でガシッと私の顔を覆った。
「ぅわあっ!?」
伸ばした指でちょうど目の辺りを塞がれるような形になって、何も見えない。
「ちょ、ちょっと、純!これじゃ見えないんだけど!」
「見えなくしてんだから当たり前だ!!」
「はぁ?なんで?」
問い返したものの、純からの返事がない。
数秒置いてから、絞り出すような声が聞こえてきた。
「……頼むから……もう少し、自覚してくれ……」
…自覚?…何の?
…と、思っていたら、純が続けて聞いてきた。
「……御幸とは……付き合ってねぇんだな?」
「だから、そう言ってるでしょ!」
「……なら、いい。」
そう言うと、私の顔を覆っていた手をゆっくりと離す。
「…A…お前…」
まだ赤いままの顔で、なんだか憮然とした表情で、何を言うのかと思ったら…
「鼻毛出てんぞ。」
「!?」
私は思わず両手でバッと鼻を覆った。
純はそんな私にンベッと舌を出すと、くるっと体の向きを変え、ズカズカ歩いて部屋を出て行った…。
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暇人 - フランス革命さん» ちゃんと読んでなくて草。中学生ではないネタ何個もあるのに。 (1月6日 11時) (レス) id: 9409c0bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
味塩 - すごく好みで面白かったです!!ギャグ夢大好きで、夢主のノリも理想通りで本当に最高でした…!全シリーズ読んだのですがまた最初から読みたくなっちゃいました。どれもそのキャラらしさが出ていて本当に面白いです (2022年10月27日 1時) (レス) id: 2296c25889 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。亮介さんLoveなので、本当はこのキャラでの長編が読みたいですが、続きも楽しみです。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
フランス革命(プロフ) - 中学生バレバレで草。高校のテストこんな甘くねーよ (2019年7月29日 21時) (レス) id: 6067ba3fc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年6月7日 16時