【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室《短編集》

【倉持＆前園の場合(2)】 ページ36

バッターンッ！！

「「Aさんっ！！」」

ドアが壊れるかと思うほどの勢いで開かれ、それとほぼ同時に二つの声に名前を呼ばれた。
入口を見れば、倉持と前園が血相を変えて立っている。

「……何？どうしたの？」

「……アレは、何スか……」

倉持が呟くように言った。

「あれ？」

「あの雑誌の写真はっ！御幸との写真は一体何スかあぁ！！」

「はっ！？なっ、なんでそれを…！」

あの雑誌は今日発売じゃなかったっけ！？
なんで倉持が…倉持と前園が知ってるの！？

「さっき、夏川と梅本が狂喜乱舞しながら報告しにきましたよ。」

「…あ、あいつら…！」

前園が教えてくれた情報に、私は思わず握り拳を作ってプルプルと震わせた。

「しかし、まさかAさんまで御幸の毒牙にかかってしまうとは…」

「いや、御幸がAさんの毒牙にかかったんじゃねぇか？」

「どっちでもないわっ！」

深刻そうにため息をついている前園と、腕組みをして考え込む倉持に、私は吐き捨てるように言った。
すると二人は顔を見合わせて…

「……と、言うと？」

代表して前園が聞いてきたので、私はため息をつきながら二人に説明することにする。

「あれは、御幸が嫌がらせで近付いてきたところを唯と幸子が勝手に撮って送っちゃったの。まさか掲載されるとは思わなかったけど…」

「嫌がらせ…」

すると倉持がボソッと呟いてから、何を思ったのかズイッと顔を近付けてきた。

「ちょ…倉持！？」

まるであの写真を撮られた時のような距離感に、私は思わず赤面してしまう。
それを見て、倉持はすぐに顔を離した。

「…なるほど。Aさんは男に免疫ねぇからな…近付かれて赤面したのか…」

「どれどれ。」

そう言うと、なぜか今度は前園が顔を近付けてくる。



「「「…………………。」」」



「なんで俺の時は赤くなってくれへんのですか！！」

「いやなんか、前園の顔見てると阿修羅像見てるような神妙な気持ちに…」

「誰が阿修羅やあぁ！！」

「ゾノ。」

ますます阿修羅顔に近付いていた前園の肩を倉持がポンポンと叩いて、私から離してくれた。

「…でも、よく考えたら御幸とAさん、お似合いかもしれないッスよ。外見だけいい者同士。ヒャハッ！」

「そう言うたらそうやなぁ。」

「倉持…前園…上段正拳突きと膝蹴り、どっちがいい？」

「「失礼しましたー。」」

バタン、とドアを閉めて、二人はスタコラと部屋から逃げ出して行った。

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