【結城哲也の励まし】 ページ25
「…あーあ。またやっちゃった…。」
片付けも着替えも終わったものの、帰る気になれない私は、他のマネージャーを見送った後で椅子に座ってため息をついた。
今日の部活中、偶然背後にやってきてしまった麻生に、例によって例のごとく、回し蹴りを喰らわせてしまったのである。
途中で力を抜くことができたのと、近くにいた純の警告のおかげで大事には至らなかったものの…
「…また明日から、しばらく『殺し屋』って言われるんだろうなぁ…」
ふぅ、と、何度目かのため息をついたとき、コンコンとドアがノックされた。
「…まだいたのか?」
ガチャッと開けて入ってきたのは哲だった。
「あー、哲。うん、まぁ、ちょっとねー。」
机に頬杖をついて答える。
「まだ何かやることがあるのか?」
「いやー、そうじゃないんだけどねー。」
「そろそろ帰った方がいいぞ。」
「はぁい。そうだねー。」
と、気の抜けた返事を何度かしていた時だった。
「…隣の家に囲いができたそうだ。かっこいー
。」
…………………………………………。
今のは私じゃない。
「…哲…ちょっと失礼。」
そう言って立ち上がると、私は哲の額に手を当てた。
「なんだ?熱はないぞ?」
「…そう…だね…。……幻聴だったかな……」
手を離して腕組みをし、首を捻っていると…
「…魚が驚いた。『ギョ』。」
…………………………………………。
今のも私じゃない。
「あ……悪霊退散んんんー!!やっぱ御幸の素顔写真飾っとくべきだったかー!!」
「別に取り憑かれてはいないぞ?…御幸の写真?」
「哲!!何なのどうしたのさっきから!!」
「いや…励まそうと思ってな。」
……はい?
「…励ます?」
「お前が落ち込んでるみたいだったんでな…。こういう時は笑わせてやればいいと聞いたことがある。」
…そ、それで、あんなダジャレを…
私は思わず額を押さえた。
「哲…。あ、ありがと。哲の気持ちは嬉しいけど、突然真顔でダジャレ言われても、あんまり笑えないかな…」
「そうか…」
そう言うと、哲は顎に手を当てて何やら考え込んだ。
そして…
「わかった。次からは、『今からダジャレを言うぞ』と予告した上で、変顔で言えばいいんだな?」
「いや普通に『元気だせよ』って言ってくれる?」
【小湊春市と風邪薬1《癒しの時編》】★→←【前園健太と漫画】※趣味に走りましたm(__)m
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暇人 - フランス革命さん» ちゃんと読んでなくて草。中学生ではないネタ何個もあるのに。 (1月6日 11時) (レス) id: 9409c0bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
味塩 - すごく好みで面白かったです!!ギャグ夢大好きで、夢主のノリも理想通りで本当に最高でした…!全シリーズ読んだのですがまた最初から読みたくなっちゃいました。どれもそのキャラらしさが出ていて本当に面白いです (2022年10月27日 1時) (レス) id: 2296c25889 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。亮介さんLoveなので、本当はこのキャラでの長編が読みたいですが、続きも楽しみです。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
フランス革命(プロフ) - 中学生バレバレで草。高校のテストこんな甘くねーよ (2019年7月29日 21時) (レス) id: 6067ba3fc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年6月7日 16時