【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室《短編集》

【滝川・クリス・優の教え方】 ページ20

「えっと…次は、こうでしたっけ？」

「そうそう。で、ギュッと引っ張って…」

今日は部活が終わってから、春乃ちゃんにテーピングの巻き方を教えている。
自分の説明に自信がなかった私は、保険でクリスを呼んでおいたんだけど…

「んでもって、クルッとしてグイッとやってビャッと…」

「…A。お前、フィーリングで説明するのはやめろ。」

早速、イスに座っているクリスから、呆れた眼差しを向けられた。

「いやぁ、人に説明するのって苦手でさ。元々大雑把なもんで…。」

「そこで開き直らずに、相手の立場に立ってもう少し細やかな気配りを…」

「あー、また始まった…」

「お前がいつまでも『そう』だから、周りに女性扱いしてもらえないんだ。」

はぁ、と、ため息をつきながらクリスが言った。

「これでも俺は心配してるんだ。このままでは、一生独り身なんじゃないかと…」

「何の心配してんのよ！」

「クリス先輩…優しいですね。」

「春乃ちゃん！これは余計なお世話っていうの！」

「吉川も言ってやってくれ。」

「あっ！じゃあ、こういうのはどうでしょう？」

ポンッと手を打って、春乃ちゃんが言った。

「お二人が結婚すれば、全部解決するんじゃないですか？」

「はぁっ！？は、春乃ちゃん、なな何を…」

「…俺は別に構わないが。」

「………え？」

私はクリスの言葉に耳を疑った。

「…いや、クリス…冗談でしょ？」

「冗談だと思うのか？」

クリスは机に頬杖をついて、柔らかく微笑んだまま私を見ている。
そして、爆弾発言を落とした春乃ちゃんは、顔を赤くして両手で口を押さえ、私とクリスを交互に見ていた。

「…だ、だって…」

自分の顔が、熱くなってくるのがわかる。
ドクンドクン、と、耳の中で鼓動を感じた。

ちょ、ちょっと…クリスってば、いきなり何を…


「…お前がもう少し女性らしさを身につければ、こういう展開もあるかもな。」


「「…………………。」」

なにおう？

「…つまり、冗談、なのね…」

ドッと、私はクリスの隣のイスに座って机に突っ伏した。

「悔しかったら、本気で言わせてみろ。」

相変わらず微笑みながらクリスが言う。
こっちは驚愕と安堵のジェットコースターで半泣き状態なのに…！

「…クリスの意地悪…」

机に伏せたまま、ジトッとクリスを見上げて言うと…

「…っ！」

なぜか視線を逸らされた。

「A先輩っ！それですっ！赤面ウルウル上目遣い！」

「吉川…そういうことじゃなくてだな…」

【小湊亮介のいたずら】※下ネタ強(^^;→←【倉持洋一の愚痴】★

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