【小湊亮介の嫌がらせ】 ページ12
「…ぬあっ、こんなんじゃ間に合わないぃっ!」
ガシガシガシッと、私は頭を掻きむしった。
何の話かと言うと…明日提出の課題のことである。
それなりの量があるため、早めに知らされていたにも関わらず、まだ大丈夫だろうと余裕をブッこいている間に、課題の存在そのものを忘れてしまっていたのだ。
部活中にその話をクリスに聞いて思い出し、現在、青ざめた顔で必死にマネージャー室で机に向かっているものの…終わりが見えない…。
はぁ、とため息をついていると、ドアがコンコンとノックされた。
「…はぁい。」
開けに行く元気もなくてそう言うと、ガチャッとドアを開いて顔を出したのは、亮介だった。
「A。ちょっと手伝って欲しいことが…」
「あー、ごめん、無理。明日提出の課題忘れてて、今追い込まれててさ。」
「…いやにすっぱり断ったね。」
「それぐらい追い込まれてるんだと察してください…」
「…ふぅん。じゃあ、仕方ないか…」
そう言うと、亮介は戻っていこうとした…の、だが。
何かを思い出したのか、ふと足を止める。
「…あぁ、そうだ。A、俺さ…ついこの前、見ちゃったんだよね…」
「何を?」
「アイツを。」
「アイツ?」
「そう。夏になると現れる…黒くて…触覚があって…」
「…しょ、触覚?…」
「羽があって…動きがカサコソしてる…」
「…まさか…!」
「ゴキ」
「いやあああぁぁぁぁ!!」
「じゃ、課題頑張ってねー。」
にっこりと笑顔でそう言うと、亮介はさっさと部屋を出ていった。
一人残された私は、とりあえずまた机に向かってはみるものの…
………………………………………………………………。
「集中できるかー!!」
机の下とか、棚の後ろとかから、黒い悪魔が現れやしないかとビクビクキョロキョロ…。
集中などできるはずもなかった。
「亮介のアホー!!今言わなくてもいいのにー!!」
亮介の地味な嫌がらせに、一人で叫んではみるものの…何も状況は変わらないのであった。
***
「亮さん…なんか、雄叫びが聞こえるんスけど…」
「あぁ、倉持。気にしなくていいよ。自分の想像力に苦しめられてるだけだから。」
「え?嘘なんスか?」
「いや、見たのは本当。でもここじゃないよ。俺はどこで見たかは言ってないからね。」
「…俺、亮さんだけは敵に回したくないッス…」
「フフフフフ。」
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暇人 - フランス革命さん» ちゃんと読んでなくて草。中学生ではないネタ何個もあるのに。 (1月6日 11時) (レス) id: 9409c0bbe7 (このIDを非表示/違反報告)
味塩 - すごく好みで面白かったです!!ギャグ夢大好きで、夢主のノリも理想通りで本当に最高でした…!全シリーズ読んだのですがまた最初から読みたくなっちゃいました。どれもそのキャラらしさが出ていて本当に面白いです (2022年10月27日 1時) (レス) id: 2296c25889 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。亮介さんLoveなので、本当はこのキャラでの長編が読みたいですが、続きも楽しみです。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん丸(プロフ) - もう、すごく面白くて、大笑いしました。 (2022年1月26日 20時) (レス) @page49 id: 07285a2235 (このIDを非表示/違反報告)
フランス革命(プロフ) - 中学生バレバレで草。高校のテストこんな甘くねーよ (2019年7月29日 21時) (レス) id: 6067ba3fc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2015年6月7日 16時