【二年生の場合・弐(5)】 ページ6
「はい、前園。…あと、これは倉持。」
「お…おおぉ…!」
「…あざっす。」
「で、御幸は…」
と、私が紙袋へ向き直ろうとした時。
ガシッ、と手を取られた。
「Aさん!」
「な、何かな前園…」
「ありがとうごさいますうぅぅ!」
「…どういたしまして…」
相変わらず引きつり笑いを浮かべつつ、私は隣で俯いて肩を震わせてる御幸の足を踏みつけてやった。
「…それで、あの、Aさん…ついでと言っては何ですが、一つお願いが…」
「お願い?」
すると、前園は私の手を取ったまま、真剣な顔で言う。
「す…好きやって言って貰えませんか!?」
「…は?」
「嘘でええんです!わかってます!一回女子から言われてみたいだけなんです!お願いします!」
「な、なんで私…」
「お願いします、Aさん!」
ずずい、と詰め寄って来る前園に…私は諦めてため息をつきながら言った。
「わ、わかったよ…」
それからコホンと咳払いを一つして、改めて前園を見つめる。
そして…
「…す…好きだよ…前園…」
さすがに恥ずかしくて、目を泳がせながらそう言うと…前園の顔がみるみる耳まで赤くなってきて…
「…ふ」
「ふ?」
「ふおおぉぉぉ!!」
雄叫びを上げたかと思うと、前園は両腕を直角に曲げて「おおぉぉぉ!」と叫びながら部屋から走り出ていった…。
「お、おい!ゾノ!そのカッコで走り回んな!」
そう言って前園を追って倉持も走って行く。
「…だ…大丈夫、かな…」
ヒョオオォォ、と風の如くいなくなった二人を見送りながら、私は呆然と呟いた。
「放っといていいですよ。自分が頼んだんだし。」
すると、御幸が絶対面白がってる顔で言い…そこで私は、はた、と御幸にまだモノを渡していなかったことを思い出した。
「…御幸、忘れないうちに渡しとくよ…はい。」
「…え…これ…」
「コーヒーゼリー。御幸は甘いもの苦手でしょ?」
すると、ゼリーを受け取った御幸がビックリしたような、戸惑ったような顔で手で口を覆う。
珍しいなぁ、なんて思いながらそれを眺めてたら、暫くしてから御幸が手を降ろし、ニッといたずらっぽい笑みを浮かべた。
…あ…なんか…イヤな予感…
「…俺のためだけに特別なものを作ってくれたってことは、やっぱコレ本命ですよね?」
「違うっ!」
「またまたぁ。そんな照れなくても♪」
「ほんとに違うんだってばー!」
はっはっはっ、と笑う御幸の背中を、私は真っ赤になった顔でベシッと叩いた。
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時