《番外編》【倉持&春市と正義の味方(2)】★ ページ49
春市君がそう言い終わると、パラリと私の体から縄が落ちた。
「とりあえず、ありがと!後は、終わってから聞く!」
「…っ、は、はい!」
頬を赤くして嬉しそうに言う春市君にニッと笑ってから、私は倉持が転ばせた男に近付いた。
「…いてて…」
「痛い?じゃあそのままここで___寝てようか。」
ガスッ、と首の後ろに手刀を入れると、そいつは軽く呻き、ガクンと気を失った。
それから直ぐ様立ち上がると、私の目の前を何かが吹っ飛んでいって、ガッシャアアァァァン!と止めてあった自転車に突っ込む。
改めてそこを見ると、男が一人のびてた。
ふむ、さすが倉持。なかなかやる…
と思いながら男が飛んできた方を見ると、長い棒状のものを持ったヤンキーが、倉持の後ろから殴りかかるところだった。
「…っ、させ、ない!」
私は素早く距離を詰め、渾身の力で回し蹴りを男の脇腹にお見舞いした。
ドカッ!
「ふぐっ!?」
男はそのまま勢いよくコンクリート壁にダンッ!とぶつかり、ズルズルと座り込んで動かなくなる。
一方で私と倉持は、お互いの動きを読んでいたかのように、このタイミングでピタリと背中合わせに立っていた。
「ケガしないでよ、倉持。」
「ヒャハハ!誰に言ってんすか。それより、そっちの奴が頭でしょ?変わりましょうか?」
「冗談!借りは自分で返す!」
「そう言うと思いました、よ!」
それが、合図だった。
私と倉持は同時に踏み切り、前方にいた残りのヤンキーへ…それぞれの飛び蹴りが炸裂した。
* * *
「もう無闇に首突っ込むの、やめてくださいよ?」
「面目ない…」
「一人で無茶しないでくださいね?たまたま僕と倉持先輩がいたから良かったですけど…」
「スミマセン…」
捕まっていた男子を先に帰したあと、私は倉持と春市君からお説教を喰らってシュンと項垂れていた。
確かに今回は完全に私のミスだ。
一人で踏み込むべきじゃなかった。
「ほんとにごめんなさい。あと…」
ペコン、と頭を下げて謝ったあと、私は照れ隠しに笑いながら言った。
「助けてくれて、ありがと。」
「「…っ!」」
すると、なぜか頬を赤くして倉持と春市君は顔を見合わせる。
「…それにしても、倉持が異常にカッコ良かった…」
「あ、僕も思いました!」
「なっ…!何言って…!お、俺、先に帰りますよ!」
そう言ってスタスタと歩き出す倉持を、私と春市君は笑いながら追いかけた。
(ノンピ様リク)
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時