【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室４《短編集》

【クリス＆金丸と洋画(1)】★下ネタ有(^^; ページ43

※金丸視点
＿＿＿＿＿＿＿

コンコンコン

「いやだからこの辺なんだけど…あ、どーぞー？」

湿布を貰おうとマネージャー室のドアをノックすると、なんか心ここに有らずというか、適当な感じのA先輩の返事が返ってきた。

「失礼しま…あ、クリス先輩…」

「金丸か。」

部屋の中には、おそらく私物であろうポータブルDVDプレーヤーを覗き込んでいるA先輩とクリス先輩がいた。

「どうした？」

「あ、えっと…今日の守備練の時に、イレギュラーしたボールが当たって…湿布を貰おうかと…」

「翼、湿布を出してやってくれ。」

「んー。じゃ、ちょっと見ててよクリス。そろそろだったと思うから。」

そう言って、A先輩は救急箱が置かれている棚に向かい、クリス先輩はまたプレーヤーの画面に目をやる。

「…なんですか、それ？…洋画？」

机の上に置かれているプレーヤーには、彫りの深い欧米人が数人写し出されていて、聞こえてくるのは…英語？

「あぁ。Aが英語の勉強も兼ねて本物のセリフを聞き取ろうとしてるらしくてな。」

「…なるほど…」

「あっ！クリス、そこ！そこのセリフ！」

その時、救急箱を抱えたA先輩がタタタッと戻ってきて、またプレーヤーを覗き込んだ。
どうやら何回聞いても聞き取れない部分があったらしく、それをクリス先輩に聞きたかったそうだ。

「あぁ、これはな…」

クリス先輩の説明によると、それは英語特有の表現で、普通に直訳しても意味が結び付かないものらしい。

「日常的に使う表現ではあるが、知らないと意味がわからないだろうな。」

「なるほどねー、そういうことか。ありがと、スッキリした！あ、金丸、はい、これ。」

そう言って、A先輩は満面の笑みで俺に湿布を渡してくれた。

「あ、ありがとうございます…」

「湿布だけで大丈夫？病院とか…」

「大したことないんで、そこまでしなくていいですよ。」

苦笑いを浮かべて言うと、A先輩は「そう？」と言いながら救急箱を仕舞いにまた棚へ向かって行った。

そして、その時…ソレは起きた。

つけっぱなしのDVDプレーヤーで再生されてる映画の雲行きが、怪しくなってきた。
具体的に言うと、主人公とヒロインが所謂『いい雰囲気』になってきて、一目でわかるほど情熱的なキスを交わし、そのまま倒れ込んで事態は進み続け…

「…oh…yes…yes！」

マネージャー室に、女優の『あの声』が響き渡った…。

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