【真中&丹波と昔話(1)】★ ページ41
コンコンコン
「はーい。どうぞー。」
ある日曜日の夕方。
今日は早目に練習が終わり、そろそろ帰ろうかとロッカーをゴソゴソやっていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「A…今少しいいか?」
ガチャッとドアを開けて、控え目にそう聞いてきたのは…
「光一郎じゃん。珍し…」
珍しい、そう言おうとしてた私は、光一郎の後ろに見える人影に気付いて言葉を止めた。
あれ?もう一人いる?誰だろう…。
そう、思ってたら。
「久しぶりだな、A。」
「…か…要!?うわ、ほんと久しぶり!」
光一郎の後に続いて入ってきたのは、ユニフォーム姿の市大三高のエース、真中要だった。
「春の大会で姿は見かけたけど、話すのはほんとに久しぶりだねー。」
「あの時はそこまで時間がなかったからな。」
はにかむように笑う要とこんなに親しげに話しているのは、実は幼馴染みというか腐れ縁というか、小学生からの知り合いだからだったりする。
「今日は、たまたま近くで練習試合があってな。久々にお前や光一郎の声が聞きたくなって寄ってみたんだ。」
「そーだったんだ。あぁ、その辺適当に座ってよ。」
そう言って二人にはイスに座ってもらい、私はとりあえず麦茶を入れたコップを出す。
「ありがとう。…どうにかちゃんとマネージャーやってるみたいだな。」
「要…それ、何回言ったら気が済むの…」
「あぁ、すまんな。小学生の頃は男子を追いかけて後ろから飛び蹴りを喰らわしていたお前が、本当に選手を支える側のマネージャーになれるのか心配だったから…」
「だからっ!それはアイツらが変なこと言ってからかってきたからで…!」
慌てて要に言い訳じみた説明をしていると、今度は光一郎が顎に手を当てながら話し出す。
「あの頃と比べると丸くなった方か…まだたまに足が出る時はあるが…」
「ちょ、光一郎!私別に誰でも彼でも蹴ってたワケじゃなくて、スカート捲りしたり他の子の悪口言ってるようなバカに天誅を…」
そこまで言ってから、私はハッとあることを思い出した。
「…人のこと凄い乱暴者みたいに言ってるけどさ、光一郎は光一郎で、小学生の頃はずっと要の後ろに隠れてたよね。」
「なっ…!そ、それは…!」
「そう言えばそうだったか…」
「そーだよ!今以上に大人しくて、男子にも時々からかわれてたじゃん!」
そして、その度にその男子を追いかけ回して飛び蹴りしていたのは…私だったりする…。
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時