【ダイヤのA】部活終了後のマネージャー室４《短編集》

【一年生の場合・弐(3)】 ページ4

「A先輩っ！俺にはっ！？俺にもあるんすよね！？」

「春市君、降谷君、これどーぞ。」

「わぁ…ありがとうございます！」

「…ありがとう、ございます…」

ぎゃあぎゃあ騒ぐ沢村を無視して、私は春市君と降谷君にチョコを渡した。
二人ともポッと頬を赤くしてお礼を言ってくれて…うん、手抜きとはいえ頑張って作ってよかったなぁ。

「A先輩ー！！」

「何よ、沢村。」

「俺貰ってないんすけど！」

「そうだっけ？」

「そーなんす！」

「ソーナンス？ポケモン？」

「ちがああぁぁぁう！！」

ベシャッ、と床に崩れ落ちたあと、沢村は涙目で私を見上げながら言う。

「A先輩いぃ…後生ですから…後生ですからこの可愛い後輩にチョコを〜！」

「栄純君…自分で可愛いって言っちゃダメだよ…」

と、春市君が冷静に突っ込み…

「つーか義理チョコ一個に来世まで懸けるんじゃねーよ、みっともねぇ。」

金丸がばっさり切り捨て、東条君は苦笑いを浮かべ、降谷君はため息をついていた。

「…ったく大騒ぎしすぎ。心配しなくてもちゃんとあげるって。」

ここでようやく私は沢村の分のチョコを取り出して渡してあげた。

「ううぅ…あ、ありがとうごぜぇやす…」

「まぁ残念ながら本命じゃないんだけ…」

「あ、大丈夫っす。」

「おい。」

「本命は…ちょっと重いかな。」

「春市君まで…！」

「カニ玉食べたい…」

「何それ遠回しに拒否してんの降谷君！？」

相変わらず散々な言われように嘆いていたら、東条君が何かを考えてるような感じで片手を軽く上げながら口を開いた。

「…まぁ、じゃあ俺が貰おうかな…A先輩の本命…」

「いや、それは僕が。」

間髪入れずに降谷君が続く。
…は？

「…っ！あ、いや、じゃあ僕が…」

「いやいや、やっぱ俺が…」

春市君と金丸までが手を上げ、沢村はキョトキョトとみんなを見回してから…

「え？え？そ、そんなら俺が！」

…と、片手をビシッと上げて…

なんか…どっかでみたぞこのパターン…と、思ってたら…

「「「どーぞどーぞどーぞ。」」」

降谷君以外の三人がヒラリと片手の掌を沢村へ向けた。
やっぱりそれかああぁぁ！！

私はワナワナと手を震わせながら、キッと一年生ズを見回す。

「あ、あんたらねぇ…！」

すぅっ、と息を吸い込んで…

「私の本命を何だと思ってんの！！出てけぇー！！」

「「「すみません！」」」

「なんで俺も！？」

「あれ？僕も？」

5人まとめて部屋から追い出した。

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