【薬師メンバーの場合・壱(14)】 ページ15
哲の天然発言で一気に疲れてしまった私は、みんなが帰ったあとも机に突っ伏してぐったりしていた。
…もう…とっとと残りのメンバーにチョコ渡して帰ろう…
というか…ここに置いといて『ご自由にどうぞ』ってメモでも書いておこうかな…。
なんて考えてたら、もはや今日何度目かわからないノックが聞こえた。
「開いてますよー…」
力なくそう答えたら、ガチャッとドアが開かれた。
「すいませーん。お邪魔しまーす。」
「…あれ?さ、真田君?」
「はははっ、来ちゃいましたー。」
「来ちゃいましたー、じゃなくて!…っていうか、ソレ…雷市君?」
練習着姿の真田君は、誰かに肩を貸して引っ張り起こしてる感じだった。
「そーなんすよ。俺のランニングについてくるって自分で言ったクセに、途中でバナナ切れ起こしちゃって…」
「バ、バナナ切れって…そんな、ガソリン切れみたいに…」
い、いや、雷市君にとっては、バナナがガソリンみたいなものか…。
「…とりあえずその辺座って。」
ため息をつきながらそう言って、私はバナナを取りに行った。
幸い少し残ってたから、ちょっと貰うねと心の中で誰へともなく謝りつつ取って、それを雷市君へ渡す。
「はい、どーぞ。」
すると、さっきの私と同じように机に突っ伏していた雷市君はガバッと体を起こし、目をウルウルさせながら言った。
「あ、ありがとうございます〜!」
そしていつも通り両手にバナナを持って、はぐはぐと食べ始める。
やれやれ、とその様子を見ながら一息ついていた私は、もうついでだしこの二人にもチョコを渡しておこうと、紙袋から取り出した。
「今日会ったのも何かの縁だろうし、二人にもあげるよ。はい。」
と、まずは真田君に差し出した。
「…あれ?マジっすか?ありがとうございまーす。…で、これはゴディバっすか?デメルっすか?」
「…なんでスペック高いイケメンは同じこと言ってくるんだろう…」
「はははっ、冗談っすよ。俺、こういう手作りの方が嬉しいっす。」
「…っ!」
キ、キラースマイルで爽やかにそういうことさらっと言えちゃうって…!
真田君ズルい…!
ちょっと…いや、だいぶ動揺が…!
「…なんだ?それ…?」
「…あ、ら、雷市君も、はい!」
思わず真田君に釘付けになっていた視線を雷市君へと移して、私はチョコを渡す。
「…こ、これは…!」
すると、雷市君はそれを高々と頭上に掲げ…
「チ、チョコだああぁぁ!!」
と涙を流して喜んでいた…。
【薬師メンバーの場合・弐(15)】→←【三年生の場合・参(13)】
799人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時