【三年生の場合・壱(11)】 ページ12
稲実メンバーが帰っていき、静寂が戻ってきたマネージャー室で安堵のため息をついていると、予想通りというかなんというか、やっぱりドアがコンコンとノックされた。
「もー勝手に入っていいよ…」
イスに座り、机に頬杖をつきながらげんなりとドアに声をかけると、ガチャッと開いて顔を見せたのは…
「ほら、やっぱりいたでしょ?」
「…だな。」
亮介と純だった。
亮介…亮介といえば…
「…っ!」
ガバッと体を起こして、私は亮介に「御幸に会った!?」と聞きそうになって…すんでのところで言葉を飲み込む。
もし…亮介がまだ御幸に会っていなかった場合…
ここで御幸の名前を出してしまうと、後々「御幸がどうかしたの?何かあったの?俺に言えないの?なんで?どうして?」と鬼のような追及を受けることに…。
「…何?俺の顔になんかついてる?」
「い、いや…何でも…」
「…ふーん…まぁいいや。それよりさ…」
幸い、亮介は他に気になっていることがあったらしく、あっさりと話題を変えてくれた。
「ゾノが雄叫び上げながら全力疾走してたんだけど、何があったのか知ってる?」
「倉持が追っかけてたけど、アイツが追い付けねぇってどんだけ潜在能力開花させてんだゾノは…」
亮介に続けて純が呆れたように言い…私は少し前にここで起きた出来事を思い出した。
「…あー…あれは…」
そこまで言って、はた、とあることを思い付く。
そしてそのままガサゴソと紙袋からチョコを取り出し、亮介に向かって差し出しながら…
「…亮介…す、好きだよ…」
…と、言ってみた。
「……………。」
「んなっ!?」
けどまぁ、やっぱり亮介は顔色一つ変えなくて。
代わりに純がカッと赤くなって私と亮介を交互に見てた。
「…もしかして、ゾノにもコレやったの?」
一応チョコを受け取りつつ、察しのいい亮介が聞いてくる。
「ご名答。…まぁ、そもそもは前園が頼んできたんだけどね。好きやって言ってくださいって。」
「…な…なんだ、そういうことかよ…ビビったぜ…」
ふうぅ、と大きく息を吐いたあと、けっ、とドアの方を見ながら純が続けた。
「しっかし、自分で頼んでおいてあんだけ大騒ぎしてりゃ世話ねーな。情けねー奴だぜ!」
「…へぇ。言うじゃん。」
「ったりめーだろ!嘘だってわかってんだからよ!俺ならあんなに動揺しねー…」
「「へえぇぇぇ。」」
「…な、なんだよ疑ってんのか!?んじゃ言ってみろよ!!」
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時