【向井太陽とバレンタイン(1)】★ ページ2
2月14日。
前期試験まで2週間もないというのに、私は制服を着て重たい紙袋を提げて、マネージャー室へとやってきていた。
コンコン
…と、ノックはしてみたけど返事はなく、とりあえず私はドアを開けて中へ入る。
今日は練習早目に終わったのかなぁ…。
唯も幸子も春乃ちゃんも、みんな帰っちゃった?
いやでも今日は…
紙袋を机に置いてそんなことを考えていたら、
コンコココン
と、前に聞いたことのあるノック音がした。
こ、これは確か…
「…はい…?」
ゆっくりとドアを開けてみると、そこに立っていたのは…
「寧々セーンパイ♪」
「向井君…私は寧々じゃない…」
ガックリと項垂れながら向井君に言うと、向井君はきょとんとした顔で言った。
「やだなぁ当たり前に冗談ですよ。そう簡単に寧々と肩を並べられると思わないでくれます?」
「…自分が言ったくせに…」
「お邪魔しまーす。」
私のセリフはスルーして、向井君はトコトコと部屋の中に入ってくる。
相変わらずだ…。
「…で、今日はどうしたの?」
もう何だかどうでもよくなって投げ遣りに聞いたら、向井君がくるっと振り返って無言で片手を差し出した。
「…何?」
「貰いに来てあげたんですよ。」
「貰いに、って…」
「チョコ。」
「…は?」
「本命は重いんで、義理でいいですよ、義理で。」
「………。」
…どうして向井君に義理チョコを渡すことになるんだろう…。
と、首を捻りつつも、私は紙袋から予備のチョコを取り出して向井君に渡す。
「…どうぞ。」
「…手作り?」
「…まぁ、どっちかと言えば…」
市販のフレークを砕いて丸めてチョコかけただけなんだけど。
「ふぅん…ま、いっか。」
渡したチョコを見つめながらそう言ったあと…何を思ったのか、向井君は私のスカートの裾をピラッと捲り上げた。
「はぁ!?ちょ、何すんの!?」
「なーんだ、やっぱり短パン装着済みか。つまんない。」
「あのねぇ!!」
「今日ぐらい勝負下着とか履いてんのかと思った。」
「んなワケないでしょ!!」
「えー?じゃあ本命の相手いないの?寂しー。」
こ、こ、こいつ…!
うぐっ、と言葉に詰まった私にニヤッと笑って、向井君はドアのノブに手をかけながら言う。
「いつか勝負の日がきたら、ちゃんと上下セットの下着を付けてくださいね、Aセンパイ。」
ベッと舌を出してから、向井君は部屋を出ていった。
これが…怒濤のバレンタインの幕開けだった…。
(インドアガール様リク)
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雪星(プロフ) - 椰子の実さん» 椰子の実さん、コメントありがとうございます!大好きと言ってもらえるだけで嬉しいのに、頻繁に読んでくださっているとは…!元々自分の息抜きで始めたある意味バカバカしい短編集ですが(^^;楽しんで書いてますので、また読んでやってくださいっ(≧▽≦) (2016年9月11日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
椰子の実 - このシリーズが本当に大好きで大好きで、ほぼ毎日読んでる感あります(笑) (2016年9月11日 20時) (レス) id: 5b93e46beb (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - 抹茶さん» 抹茶さん、コメありがとうございます!夢主は、制服の時は基本的に短パン装着してる設定です(^^;すぐ足が出る自覚があるので…(^^;たまに忘れてたりして、倉持や白河君がその場面に遭遇してラッキースケベが発動してます(^^; (2016年4月6日 23時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - この作品とっても面白いです(^^♪後、前々からずっと気になってた事があるんですが夢主ってよく回し蹴り?してますよね、この時パンツ丸見えになってないんですか?もし、見えてたら倉持達は見て見ぬふりをしているのですか? (2016年4月4日 23時) (レス) id: 301a2e1b49 (このIDを非表示/違反報告)
雪星(プロフ) - あおあおさん» あおあおさん、はじめまして!コメありがとうございます!有り難いお言葉、嬉しいやら恥ずかしいやら…(≧▽≦)なるべく早く続編公開できるように頑張りますので、少々お待ちください(>_<) (2016年4月2日 22時) (レス) id: 1f6d2a7be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪星 | 作成日時:2016年1月27日 19時