溺愛される鬼少女② (ページ13)

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柱たちの心⑥ ページ13

「まあ、なんでもいいけどさ。じゃあ帰るから」

木刀を善逸に投げつけて歩いて行く無一郎くん。

「いたっ！」

「善逸、カナヲ、ごめんね」

「え？ちょっ、A！」

追いかけないと。

「まって！無一郎くん！」

急いで追いかけるけど、無一郎くん速いな。
歩いてるの？走ってるの？それ。

「なに？鬱陶しいんだけど」

前の無一郎くんはこんな人じゃなかった。
いや、確かに初めて出会った時は毒舌で怖い子だと思ったけど。

本当はもっと優しい人。

「ごめんね、私と話をしてほしいの」

「それ、何の意味があるの？」

…悲しい。
無一郎くんからそんな言葉を聞きたくなかった。

いや、仕方ないよね。わかってるよ。

「私のこと嫌い？」

うわあ、何言ってるの私。
面倒くさい系の女の子じゃん。嫌われるやつ。

「僕の時間を邪魔する人は嫌い」

そう言い捨て蝶屋敷を出て行ってしまった。

「や、やらかした…」

誰か私を打ってください。
恥ずかしすぎてはげる。

このまま善逸とカナヲのとこに戻るの恥ずかしい。
何してんのって感じだよねえ。

「本当、私って何したいんだろう」

ちゃんと考えてから話さないとね。

「そうだな！！」

「わあっ！？」

蝶屋敷の門の前で悩んでると話しかけられた。
…というか返事をされた。

「杏寿郎さん…」

声の主は杏寿郎さん。
うわあ、気まずい。聞き耳してたことバレてるよね、柱だもん。

「俺は君が何をしたいのか分からない！！」

「何ですか、突然…」

「君は俺たちを利用しているのか？いつか俺たちを喰うつもりか！？」

いつのまにか私すごく悪いやつになってる。

「喰いませんよ」

「鬼なのにか？」

「杏寿郎さん、私の事信用してないんですか？」

そう言うと静かに目を閉じた杏寿郎さん。
…この人って何考えてるのかな？

「正直に言うと信用していない！」

真っ直ぐな瞳で言われてもう心が折れそう。

「だが、俺は自分の目で確かめたい！」

「自分の目？」

「そろそろ任務に行かなくては！」

何しに来たんだろう。
そして私の質問は無視なのね。

杏寿郎さんの後ろ姿をこんなに変な気持ちで見ることがくるなんて思わなかった。