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「あれ? 見ない顔だね、お客さん?」


やっとのことで群れの中から出てきた、茂庭さんと呼ばれた人が私達に気付く。舞さんが横で説明してくれた。


「朝、鎌先さん達が拾ってきたんです。なんでも修行に放り出された弓使いの方々だとか」

「へぇ……鎌ちが。いいよ、ゆっくりしていってね」


はい、と揃って会釈すると、茂庭さんの後ろからひょっこりとまた人が出てきた。

さっき――扉をものすごい勢いで開けた人だ。


「へー、鎌先さん人拾いなんてできるんスね」

「二口テメェ!!」

「褒めてるんですよー。でも今日は食いもんの取り分減るから減点」

「いいかげんにしなよ二口……」


茂庭さんの困り方を見るに、彼らのそんなやり取りは日常茶飯事らしい。仲がいいのかそうでないのか。

もう、と横で舞さんもため息をつく。


「料理はたんまり用意してるわよ」

「ハイハイ。あ、多分あとで黄金川あたりが荷物運んでくるから、食べ物だけ整理しといて」

「……わかった」


それにしても、ふーん。二口さんがこちらに近づいてくる。私は、再び食事に夢中になっている影山さんの足をガッと蹴った。


「修行に放り出されたとか、今時そんなんある?」

「これがあるんですよねー……」

「つーか隣の奴すげえ食ってっけど」

「いかんせん数日飲まず食わずだったもので……」


再び足を蹴ると、影山さんは顔をあげて「……こんちは」と軽く会釈した。この人にはこう、危機感というものがまるでない。


「弓使いって珍しーよな?」

「さあ……私達の他は数名しか知りませんけど」

「ソイツらも修行に放っぽり出されてんだ?」

「あちらこちらにですねー」


詮索、詮索、……詮索?

二口さんは私達を試しているようで、ただの興味のようで。まるで意図が汲めない。

Aそろそろ足どけろ、と小声で言った影山さんの脇腹をどつきながら、無難な回答を探す。


そのあとも二口さんは私達に疑いを持っていたようだったが、すっかり警戒の解けた村の人達の中で――それはアッサリなくなったらしい。よかったよかった。


「二口ー、向こうで黄金川が呼んでっけど」

「あ? あー、俺は今お取り込み中って言っといて、女川」

「はいはい……」


向こうで誰かが踏ん張る声が聞こえたけど、荷物ってそんなに重いのか。


宴会は夜まで続いて、私達が外に出られたのはすっかり日も沈んでからだった。


*

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設定タグ:ハイキュー!! , FHQ , 影山飛雄   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時

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