06 ページ7
*
「あれ? 見ない顔だね、お客さん?」
やっとのことで群れの中から出てきた、茂庭さんと呼ばれた人が私達に気付く。舞さんが横で説明してくれた。
「朝、鎌先さん達が拾ってきたんです。なんでも修行に放り出された弓使いの方々だとか」
「へぇ……鎌ちが。いいよ、ゆっくりしていってね」
はい、と揃って会釈すると、茂庭さんの後ろからひょっこりとまた人が出てきた。
さっき――扉をものすごい勢いで開けた人だ。
「へー、鎌先さん人拾いなんてできるんスね」
「二口テメェ!!」
「褒めてるんですよー。でも今日は食いもんの取り分減るから減点」
「いいかげんにしなよ二口……」
茂庭さんの困り方を見るに、彼らのそんなやり取りは日常茶飯事らしい。仲がいいのかそうでないのか。
もう、と横で舞さんもため息をつく。
「料理はたんまり用意してるわよ」
「ハイハイ。あ、多分あとで黄金川あたりが荷物運んでくるから、食べ物だけ整理しといて」
「……わかった」
それにしても、ふーん。二口さんがこちらに近づいてくる。私は、再び食事に夢中になっている影山さんの足をガッと蹴った。
「修行に放り出されたとか、今時そんなんある?」
「これがあるんですよねー……」
「つーか隣の奴すげえ食ってっけど」
「いかんせん数日飲まず食わずだったもので……」
再び足を蹴ると、影山さんは顔をあげて「……こんちは」と軽く会釈した。この人にはこう、危機感というものがまるでない。
「弓使いって珍しーよな?」
「さあ……私達の他は数名しか知りませんけど」
「ソイツらも修行に放っぽり出されてんだ?」
「あちらこちらにですねー」
詮索、詮索、……詮索?
二口さんは私達を試しているようで、ただの興味のようで。まるで意図が汲めない。
Aそろそろ足どけろ、と小声で言った影山さんの脇腹をどつきながら、無難な回答を探す。
そのあとも二口さんは私達に疑いを持っていたようだったが、すっかり警戒の解けた村の人達の中で――それはアッサリなくなったらしい。よかったよかった。
「二口ー、向こうで黄金川が呼んでっけど」
「あ? あー、俺は今お取り込み中って言っといて、女川」
「はいはい……」
向こうで誰かが踏ん張る声が聞こえたけど、荷物ってそんなに重いのか。
宴会は夜まで続いて、私達が外に出られたのはすっかり日も沈んでからだった。
*
6人がお気に入り
「ハイキュー」関連の作品
研磨よりもゲームが強いネトゲ廃人の彼氏になった件について。【黒尾鉄朗】
事故って次に目が覚めたら赤ちゃんになってたんだけど(;゚Д゚)! Part5【HQ】
【HQ!!】ねえ、酔っちゃった。【短編集】
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時