第2章 出逢いは刹那の風の中 01 ページ11
*
「別にね、私は判断を後悔してるわけじゃないんですよ」
「…………」
「むしろよかったと思ってます。でも……でもね」
「…………」
「影山さん」
影山さんは無言だった。諦めかけたけれど、でも諦めるわけにはいかない。
広がる荒野。村とは打って変わって何もない大地――そのど真ん中で、私は嘆いた。
「お腹すきました……」
「…………」
腹へりというのはいつどんな時も腹が減るのである。
*
「やっぱり舞さんの料理がめちゃくちゃ美味しかったからですかね、落差で前よりもお腹がすきます」
「…………」
「影山さん、やっぱり早いとこ進んで食糧を手に入れるほかないですよ。こんなところじゃ狩りもできません」
「…………」
「でもなんか森に着くまでにまた倒れそうですね――今度は別の村の人が拾ってくれるかな」
「A」
はいなんですか影山さん、と返事をすると、彼は低い声でボソリと言った。
「喋るな――腹が減る」
「…………」
降って沸いた極論に、私は了解の意で短く敬礼した。
それから二人黙ってただひたすら歩を進めたが、空腹は収まるどころか酷くなるばかり。……まあ、前からも腹の虫の声がするからトントンかな。
砂漠、と言えるその地は蒸し暑かった。熱気がこもるのでフードをとり、荷物を持ち直した。歩く度にカチャカチャいう後ろの弓が、今ばかりはひどくうるさい。
歩いても歩いても先が見えない。水だけは村でもらった分があるけど、浪費は避けたかった。――遠くで馬がかっぽこ歩いているような音が聞こえる。
「…………ん?」
「どうした」
私が思わず立ち止まると、つられてか影山さんも踏みとどまった。怪訝な顔をする彼を制して、意識を音に向ける。
……ある。やっぱり。音はそう――後ろ、4時の方向!!
「かっ影山さん、アレ見えますかアレ!」
「……? ああ、なんか影みたいな――」
「多分あれ、荷物運んでるんじゃないですか!?」
それでピンときたような顔になる。荷物を運んでいる集団――それなら、もしかしたら、
「なにか分けてもらえるかもしれません」
「……行ってみるか」
「はい!」
私は影山さんに続いて、その影を追って走った。
影は丁度――足を止めたところであった。
*
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年8月1日 18時