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そのご。 ページ5

あの日から寝付けない日々が続いていた。

夜に部屋で布団をかぶっても、壁越しにあの人形がこちらに目を向けているような気がして、恐怖に襲われてたまらないのである。

本来安らぎをくれるはずの家は、人形の存在のせいでひどく恐ろしい居場所のように思えて仕方がない。

芽衣が学校へ行くとき、納屋の窓を見上げても人形の姿はない。

しかし学校を終えて芽衣が帰宅したとき、あの二つ目は必ず張り付いた微笑をたたえて芽衣のことを見下ろしているのだ。

それが何日間続いたのだろうか。
人形と目を合わすたびに……というよりも、常時人形に見られてるような感覚を覚えている現状に、芽衣は絶え間ない恐ろしさを感じていた。


 
カアカアと、遠くでカラスが鳴いている。

夕陽を背にしてうつむき歩く芽衣。

人形の目を今日も見ることになるのだろう、そう思うと勝手に家路を急ぐ足は重くなった。

自分の足元だけを見つめてとぼとぼ歩いていると、いつのまにか家の前に着いていたようだ。

いっそのこと見ないで中に入ろうかとも思った。

しかしその気持ちとは相反して、ふと窓越しの人形の姿をとらえなければいけない衝動に駆られた。

理由は分からない。
だがなんとしても、あの金髪を、よどんだ青色を、視界にとらえなければならないと思った。

そうしなければ、なにか今以上に恐ろしいことが起こりそうな予感がして。


意を決して顔を上げる。しかし、
 

「…………――ない」
 
そこにフランス人形の姿はなかった。

いつもあの窓から芽衣を見下ろしているはずの人形がどうしてなくなっているのだろうか、疑問に思うと同時にいやな予感が脳裏をよぎる。
寒気がする。
 

ごっ、
 


おもわず後ずさった芽衣の足に何かが当たった。

そのろく。→←そのよん。



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作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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退屈な日常。(プロフ) - 途中で泣いてしまった...っ(´;ω;`) 文才分けてくださ(( (2014年10月1日 18時) (レス) id: 62c9b4f07d (このIDを非表示/違反報告)
8927(プロフ) - 文章力ヤバイですね!思わず引き込まれてしまいました。最後はハッピーエンド(?)でよかったです! (2014年7月2日 22時) (レス) id: 7fc28f0c24 (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - ペンタブでしたかっそうですよねっ、ペンタブなら上手な方ですよ!(笑)イラストのうまさでカバーできてますw (2014年6月10日 22時) (レス) id: ae5c5ba8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - いおんさん» 絵がうますぎですっ((((;゚Д゚))))神ですねっっヽ(゚∀。)ノ (2014年6月10日 19時) (レス) id: d2f212b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お人形がおばあちゃんで守ってくれてたって終わり方が好きです♪素敵なホラーありがとうございます☆ (2014年6月10日 9時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いおん | 作者ホームページ:ないです  
作成日時:2014年5月28日 22時

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