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そのいち。 ページ1

キキキキキ……

夕暮れの夏空に、ひぐらしの泣く声が響いた。

「芽衣!何してるの、そろそろ暗くなってきたからお家へ戻りなさい」

自宅の庭で土遊びをしていた尾崎 芽衣(おざき めい)は、ベランダから顔を出した母の声に振り返る。

「はーい!」

大きく返事をした芽衣は持っていたスコップを手放し、家の中へ入ろうと駆け出した。


短く結ったおさげを揺らしてパタパタと危なっかしく庭を走る芽衣は、どこにでもいる平凡な小学四年生。
一つ変わっていることといえば、新築の立ち並ぶ住宅街に不似合いな、瓦屋根の古めかしい家に住んでいることくらいだろう。

その芽衣の住む家は、今は亡き芽衣の祖母が住んでいた家だ。
祖母が他界して空き家になったこの家に、芽衣たち家族は一年前に引っ越してきたばかりである。

それに加えて部屋数の多い広い家、そこの住人である芽衣でさえ知りえない、まだ見ぬ謎は多いのだ。


ガタリ、


広い庭を駆けている途中、家の傍らにそびえ立った納屋から不意に物音がした。

見ると、普段は固く閉ざされているはずのその扉が少しだけ開いているではないか。

いつも入ることを禁じられ、芽衣にとっては未知の領域。

謎に包まれたその場所に足を踏み入れることが可能なこの状況は、芽衣の幼い好奇心を掻き立てるには十分すぎる条件だった。
 

そのに。→



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設定タグ:オリジナル , ホラー   
作品ジャンル:ホラー, オリジナル作品
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退屈な日常。(プロフ) - 途中で泣いてしまった...っ(´;ω;`) 文才分けてくださ(( (2014年10月1日 18時) (レス) id: 62c9b4f07d (このIDを非表示/違反報告)
8927(プロフ) - 文章力ヤバイですね!思わず引き込まれてしまいました。最後はハッピーエンド(?)でよかったです! (2014年7月2日 22時) (レス) id: 7fc28f0c24 (このIDを非表示/違反報告)
まーさん(プロフ) - ペンタブでしたかっそうですよねっ、ペンタブなら上手な方ですよ!(笑)イラストのうまさでカバーできてますw (2014年6月10日 22時) (レス) id: ae5c5ba8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - いおんさん» 絵がうますぎですっ((((;゚Д゚))))神ですねっっヽ(゚∀。)ノ (2014年6月10日 19時) (レス) id: d2f212b3a4 (このIDを非表示/違反報告)
妙子(プロフ) - お人形がおばあちゃんで守ってくれてたって終わり方が好きです♪素敵なホラーありがとうございます☆ (2014年6月10日 9時) (レス) id: 30085790ce (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:いおん | 作者ホームページ:ないです  
作成日時:2014年5月28日 22時

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