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*02*
(降谷side)
今後の機転となるかもしれぬ重大事実を知ったのは、翌日のことだった。
厳重に保管されてある本庁のNOCリストが奪われたとすれば、一刻を争う事態となる。
何が何でも死守しないとな…
「NOCか…」
組織の裏切り者…
「……」
シェリー…
守りきれず死なせてしまった、エレーナ先生の娘…
それと、
「赤井…っ」
忘れたくても忘れられない、
脳裏に焼き付けられた記憶が甦った。
.
.
.
どうやらこの家は、僕の安息の地らしい。
「ただいまー」
予定時刻より随分と遅い帰宅となってしまった。
Aは…
「…ん?停電か?」
「…みたいです」
「A、風呂場にいるのか。」
暗闇の中で、彼女の存在を近くに感じた。
「いえ、今出ま「アン!」
…わ!?ハロくんびっくりし______」
何か温かく、柔らかい…
且つ、風呂上がり独特香りを漂わせる物体の感触を、自身の胸元で感じた。
「これは…Aか?」
「ふ…降谷さん…ですか?」
……Aってこんなに小さいのか。
身動きが取れなくてぴたりと僕の胸元で静止している状態も、
何というか、可愛いな…。
……いや、そんな感想はどうでも良くて。
「えっと、A…このままではちょっと歩けないかな。」
「……あ、」
ひとまずブレーカーを上げないと。
「スマホは確か…」
Aが離れた所で、自身のポケットからスマホを取り出す。
「よし、これを懐中電灯に」
「わ…!!」
灯りを灯す動作に集中して、Aに向かって白い光を当ててしまった。
突然の明るさに驚いたのか、身動ぐ瞬間にバランスを崩したA。
「A!?」
瞬時にAの身体を抱き上げた。
一瞬…
本当にそれは一瞬だったが、
「「_____!!」」
唇に、柔らかく温かい物が。
直後、停電は治まった。
「……怪我はないか?」
「いえ…ありがとうございます…」
まずいかもしれない。
Aは…恐らく状況を掴めていないようだ。
いや、それより何だその格好は。
夏とはいえ下着で歩き回るのは…
「ごめんなさいぃ!!」
……え?
「恥じらい……か?」
これは…
大きな進歩かもしれない。
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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時