検索窓
今日:18 hit、昨日:9 hit、合計:48,134 hit

暗闇での出来事 ページ26

*01*








『よっぽどオアシスなんだろうな、君との生活が。』







「オアシス…かぁ」





湿った空気の漂うお風呂場に、機嫌の良い一人言が響いた。






「ふふっ」






昼間、風見さんに言われた言葉を思い出しては

膝を抱き抱えて前後に揺れる。



チャプン、チャプン、と湯船が音を立てた。






「あっつい…」






夏だし、湯船に浸かっているから

全身が火照っていて、逆上せそうだった。





まだ入って少ししか時間経ってないのに…

軽く暴れちゃったからかな。



降谷さんが帰ってきていたら、

「浴槽で暴れるな」

って怒られちゃうな、きっと。



……怒ってる顔が、すぐに想像つく。






「プフッ(笑)」







1人で笑ってる私って、変な子なのかな…





でも、嬉しいんだもん。



当たり前のように、私を叱ってくれるような人がいて。


私の存在を、大切にしてくれる人がいて。


私といる事が、オアシスになっている人がいて。







こんなに幸せで良いのかな…って思うぐらい。







「……」







幸せ過ぎて、少し怖い。


こんなに平和な世界にいても、

決してあの人達との生活を忘れた訳ではないのだから。



降谷さんが…警察の人達が


守ってくれるのは、わかっているんだけど。







「……」







ハッ、いけない…


また考え込んでしまった。







「上がろう…」







そう思い、浴槽から身を乗り出した。







その時、だった。









パチンッ








「わ!?」







突然、真っ暗な空間に包まれた。


停電、かな。







「どこ…」







不自由な視界の中で、置いていた着替えを手探りで探す。



あ、あった、これかな下着…








「…って、あれ?」






上のキャミソールまでは着られたけど、

下に履くショートパンツが無い…


持ってき忘れちゃったのかな。





「……」






まぁ、良いか。


降谷さんがいたら、多分

「きちんと着替えろ!」

と、またもや一喝されてしまうかもしれないけど。



まだ帰って来ていないし。








ガチャッ




「ただいまー」







……あ、帰って来た。







「…ん?停電か?」

「…みたいです」

「A、風呂場にいるのか。」

「いえ、今出ま「アン!」

…わ!?ハロくんびっくりし______」






え?






「これは…Aか?」

「ふ…降谷さん…ですか?」








何の因果か、


私は暗闇の中で、降谷さんと密着した。

〈 02 〉→←〈 05 〉



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
121人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。