〈 03 〉 ページ14
*03*
『全く、蘭という嫁がいながらあの男は!』
『まあまあ園子…(笑)』
あ、あの時の子たちだ。
ただ通りすがっただけなのに、何でこんなに覚えているんだろう。
「……」
どう対応すれば良いのか、チラッと降谷さんの方を見上げると
「蘭さんに、園子さんじゃありませんか!奇遇ですねぇ。お二人も、家具の購入を?」
………別人がいた。
あぁ、これが「安室さん」
はじめまして、安室さん。
「いや、ちょっと…えっと…それより…」
優しそうで可愛いロングヘアの女の子が、
少し顔を赤くして、私の方を見た。
「
「「従妹!?」」
打ち合わせしていなかったから…
「安室さんの従妹」という設定になってしまった。
「安室さんの従妹なんですか!?」
「は、はい…"安室さんの従妹"です」
「…A」
ボソッと、降谷さんの呆れたような声が聞こえた。
「安室さんにこんな可愛い従妹がいたなんて!
はじめまして、私は毛利蘭です。」
「私は鈴木園子!」
「はひ…」
私は絶対に役者には向いていないだろうと悟った。
あとで降谷さんから説教されるかもしれない。
同い年ぐらいの、
それもこんなにキラキラした女の子達と話すのって…
ずっと、憧れていたから。
「訳あって今、僕の家で預かってるんです。
田舎から上京してきたばかりだから、まだ都会に慣れてなくて…」
「そうなんですか!」
「じゃあ、学校は?」
「通信制の高校に通わせています」
それにしても、降谷さんすごい。
完全に役者向きだ…
私の設定も次から次へと追加されていく。
「私てっきり、安室さんの彼女かと思っちゃった(笑)良い雰囲気だったし♪」
「園子ったら〜(笑)」
「…?」
すると、ショートの元気な女の子の方の携帯が鳴った。
「げぇ!真さん10分前に着いちゃってるみたい!!」
「そうなの!?あ、じゃあ私達これで…」
「はい、お気をつけて。」
ペコペコとお辞儀しながら、2人は行ってしまった。
「……フゥ」
「蘭さんに…園子さん…」
キラキラした2人が、忘れられない。
「2人とも、僕のバイト先の常連さん。」
「そうなんですね…」
でも、2人は「降谷さん」を知らない。
降谷さんが警察官である事も、多分知らない。
もっと話したかった。
なんて言ったら降谷さん、怒るかな…。
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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時