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あたたかい ページ12

*01*







義務教育の期間は、公立の学校に通っていた。


それでも、同級生達に上手く馴染めなくて…


主に勉強は、令くんから教わっていた。




『A。成功している大人達って皆、勉強が得意なんだよ。』




令くんは、ただ純粋に勉強が好きだった。








.









「…降谷さんは」

「ん?」

「勉強が、好きだったんですか?」

「急だな…」





朝食中、忙しそうに(でも美味しそうに)ご飯を食べる降谷さんが、動きを止めた。





「まあ、嫌いでは無かったよ。将来困る事は無いから。」

「そうですか」





令くんも同じような事言ってたな…





「急いでいるのにごめんなさい…」

「いや、構わない。」




早く食べるのが癖なだけだ、と降谷さんは付け足す。






「君は頭が良いな。」


「そう…ですか?」





そういう評価を人からされた事はなかったからちょっと降谷さんを疑った。


学校の授業なんて、ほぼ受けなかったし…


あ、でも…

1度だけ受けた中学の期末テストの結果は、かなり上位だった記憶が。





「令くんのおかげです…」

「頭が良かったのか?彼は。」

「はいっ」





私や、他の兄弟達と違って、

令くんだけは真面目に学校に通っていた。





「頭も良いし、カッコ良かったし、
動物の命も守るほど…とても優しかったんです。」

「……動物の命を?」

「はい。捨て猫の面倒を見てやったり、車に轢かれそうになった犬を助けたり…」





誰からも好かれるような人柄だった。


あんな家で育ってなかったら、

大学に行って、獣医さんになっていたかも。





「絵に描いたように、完璧な人物だな。」





……本当に。






「…そうなんです。」







どうして死ななきゃいけなかったんだろう。


あんなに完璧な、令くんが。






「……」






どうして私は、


何も出来なかったんだろう。







『昔からコイツ嫌いだったんだよ…』


『山にでも埋める?』






あんな奴らのせいで、令くんは…







『A、運ぶの手伝え』


『……私、行かない』


『チッ…警察にチクったらお前も殺すからな』


『……』






私は、どうして……!









.









.









「考え込むな。」

「ひっ…!いひゃい…」





いつの間にか下を向いていた私を、

降谷さんは現実へ引き戻そうと、頬をつねった。






「君が変われば良いんだ。」

「……」







痛いのに。


何でこんなに、優しいんだろう…

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juno108(プロフ) - とっても面白いです!続きがすごく気になります! (2020年5月20日 13時) (レス) id: 73960369a7 (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろかったです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年2月11日 21時) (レス) id: 70b86fd223 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴこ | 作成日時:2019年1月13日 2時

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