天使が重すぎる (ページ27)

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EP.26 ページ27

あみside

手首を掴まれて顔を覗き込まれたってどうしようもない

『離してもらえますか？もう帰るので』

「そう？じゃあ入り口まで送っていくよ」

『そーゆー事じゃないんですけど…』

「ほら、行こ！」

この人めちゃめちゃしつこいんだけど！入り口まで着いてくるつもりなの！？

とりあえず進まないと埒が開かないからこの男となるべく距離を取れるように早歩きで進んだ

まぁしっかりついてくる訳なんだけども

そんなこんなでさっさと歩いてるうちに気づけば入り口近く

どうする私、この人ここで諦めてくれそうにないけど

花火の時間が近づいたお祭り会場の入り口なんてほとんど人がいなくて、どさくさに紛れて帰るなんてのは無理そう

『ここまで来てもらってあろがとうございます。あとは家に帰るだけなんで』

ダメ元で行ってみるけど、

「じゃあ家まで送っていくよ！」

って予想通りの返答

マジでしつこいな、、、

『本当に大丈夫なんで、』

こんなやつに言えなんて知られてたまるか

何回断っても折れないからずーっと押し問答が続いてそろそろ疲れてきた

疲れると同時にイライラも限界に近づく

『あの、良い加減にしてもらってもいいでs…』

「お待たせ、帰ろっか」

『！？』

ぐっと手を引かれたと思ったら横に立ってるのはラウールくん

え、単純になんで？

あとお待たせって何？

「何お前、今この子と俺が遊んでんだけど」

ラウ「へぇ、友達には見えないですけど。側から見たら完全にナンパ、それもしつこすぎるタチ悪いやつ」

「お前っ、」

ラウ「まぁなんでも良いんですけど、もうどっか行ってもらって良いですか？この子は僕が送って帰るんで」

いつもより低いハキハキした喋り方に男が確実に怯んでるのがわかる

私の名前を言わないのもきっと配慮の上だろうな

「お前なんなんだよ。何勝手に話し進めてんだよ」

ラウ「見てわかんない？」

『っと、』

急に左手が持ち上がったと思ったら、しっかりと繋がれた手を男に見せ付けてるみたい

ラウ「彼氏が彼女を家に送るって当たり前でしょ

『え？』

思わず反応したら、静かにしてとでも言わんばかりに手を握りつぶされそうになって慌てて口をつぐむ

「な、なんだよお前彼氏いたのかよ！」

『ま、まぁ。はい』

曖昧な返事を返せばつまんねぇ、なんて暴言を吐いてどっかに行ってしまった