【募集企画】柞吹学園【小説】 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:36 hit、合計:17,664 hit

第14話【入学式です】白鳥純花視点ページ14

時刻は8時30分。
無事準備も終わり、一般生徒たちは体育館へ入場していた。
パイプ椅子に腰を下ろし、少しではあるが話し声が聞こえる。

1年生はまだ姿を現さない。
体育館の右に列になって並ぶ吹奏楽部の演奏に合わせて入場する予定だ。

「ねぇね、僕たちがでるとこってあったっけ？」

絵留が私の制服の袖をくいくいと引っ張ってくる。
こいつ……一般生徒が来た途端態度変えやがって……。
ちなみにぬいぐるみは未だ健在で、絵留の右手に体を預けていた。

「10時から能力披露にクイズ大会」
「それだけなの？……じゃあ、お買い物行こ～」
「はいはい。」

何度か掛け合いをしていると、体育館に教師が入ってきた。
その瞬間、波打つように聞こえた会話が一切聞こえなくなる。
どうやら、準備ができたので演奏を開始して欲しいと言いに来たらしい。

『これから、柞吹学園入学式を始めます。一年生、入場』

放送部の声が聞こえる。
間髪入れずに吹奏楽部の演奏が始まった。
曲は軽快な行進曲。名につくだけあって、更新しやすいテンポだ。

一年生が入場してくる。
私たち生徒会は、体育館の左側に立って待機。座ることはない。
在学生は柔らかい拍手で一年生を温かく迎えている。

一年生の顔は様々。
緊張で顔が引きつっている者、満面の笑みを浮かべる者、
無表情でどこを見てるのかわからない者、やたらと在学生を見ている者など。

一年生が、全員腰を下ろした。
場所はステージのすぐ真下。在学生はその後ろに左に二年生、右に三年生と座っている。

『生徒会長挨拶。生徒会長、お願いします』

引っ張られるように美空先輩が歩き出す。
手には内容が記された紙……って

「厚っ……」

一目見るだけで10枚くらいはあるのではないだろうか。

これはヤバイな。

確信していると、他の面々も似たような感じだった。

まぁいいや、と私はその後の話を聞き流すことにした。