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“知った顔が一人もいない学校に行こう”
中学3年生になった潤はそう思い立って
自分でも驚くほど受験勉強に没頭した
おかげで入学できた名門と呼ばれる
その高校は地域でも名の知れた
いわゆるお坊っちゃま学校
代々続いてきたという老舗や
大企業の御曹子など
名だたる名士の子息の集まりで
初めのうちは何とか話を合わせ
輪の中に溶け込めるようにと
必死に装っていた
けれどそんな付け焼き刃の様な
振る舞いがいつまでも続く訳がなく
結局ここでも潤の居場所を
見つけることは出来ないでいた
それならばいっその事
誰と関わることもせず
これからの学生生活何事もなく過ごしていきたい
ひとりで構わないそう思い始めていた
そんな時だった
病気の為 一年留年した雅紀が
２年生となった潤と同じクラスになった
こういった学校は留年が決まると
大抵はバックについている両親の
世間体というつまらない理由で
何がなんでも
三年間で卒業するのが常識とされ
たとえ病気の為とはいえ
実際に留年するというのは前例がなく
生徒だけでなく教員の間にも
戸惑いが見え隠れしていた
それが天下の相葉グループの
ご子息ともなればなおの事
周りの生徒達は
腫れ物に触るように
遠巻きに覗っている者
自分が嫌われてはならないと
わかりやすいご機嫌取りをする者
潤はそんな様子を見て
雅紀に対して面倒くさそうなヤツが来た
自分は決して深く関わるまいと
思いながら眺めていた
あえて雅紀とは接点を持つまいと
過ごしていた潤だったが
ある時の席替えで雅紀と隣になった
それからというもの
担任のあの口癖がたまらなくツボだとか
美術室の匂いが好きだとか
グラウンドの隅の木に鳥の巣があるだとか
屋上の寝心地は満点だとか
潤にとってはどうでもいいことを
雅紀はとにかく毎日報告した
始業前の空き時間
教室の移動時
休み時間
何故か雅紀は潤と行動を共にしたがった
偽っていた自分に疲れ
この3年間はひとりで過ごす覚悟を決めていた
目立たないよう面倒に巻き込まれないよう
3年間を無難に乗り切るはずだった
それなのに雅紀が自分にかまうせいで
そのプランは崩れかけている
潤のイライラは日々募っていった
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43(プロフ) - 大変お待たせして申し訳ありませんでした。見捨てることなくページを開いてくださった皆様、ありがとうございました。亀更新が続きますが、完結目指してカーソルはノロノロと進んでいっております。最後までお付き合いいただければ嬉しいです。よろしくお願い致します。 (2021年5月12日 21時) (
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作者名：43 | 作成日時：2021年5月12日 21時
