学パロ２

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カンタside



カ「っれしったー」


仲のいい友人と食事をかねた打ち合わせを済ませて帰る。わざと丁寧にお疲れ様を言ってその場を後にした。今日はむこうの予定に合わせて場所も決めたので、すぐにタクシーを拾おうと歩きながらきょろきょろする。

カ「あれ」


大通りっぽい方向に向かうと、見たことのある通りだった。たしか、これは、
スマホを開いて、地図で現在地を確認するとAの一人暮らしの家から帰るときに通る道。

ふむ。

金曜の夜、もう少しで日付が変わりそうだ。いなければ、帰ればいい、そう思って地図アプリを見てから、彼女の家へ歩き出した。





一人で向かうのは初めてだったから、そわそわそわしながら地図を見つめる。あのコンビニを曲がる、と考えながら明るいコンビニの前に差し掛かった。
すると少し先に見覚えのある後ろ姿。Aだ。
嬉しくなって速足になる。スーツ着てるし〜〜〜。

『・・・』

グスン、
背後まで来ると急に鼻をすする音が聞こえてきて息を飲む。肩を叩こうとしていた手は行き場を無くして、握りしめてそのまま下げた。

カ「あ、」

よく見るとAが絆創膏の形のステッカーを持っていて、つい声がでてしまう。俺の声が聞こえたらしいAが振り向いて固まった。

カ「えー、っと」

目尻を赤くしたAは俺と目が合うとすぐに、青っぽい缶が二本入ったコンビニ袋を抱えると、くびすを返して逃げ出した。

カ「待ってなんで！」

走り去るAになんとかかけた言葉になんの返事もこず、一拍あけてすぐに追いかけるために足を動かした。






スーツに高さのある靴で荷物も持ってるAに追い付くのは簡単だった。肩を叩いてねえ！と声を掛けても止まらないAに、仕方なく腕を掴んで止まらせる。


カ「…あのね、そんな靴で走ったら危ないよ」

つい咎めるような強い言い方になってしまって、目の前のAはきゅ、と唇を噛んだ。
怒ってるわけじゃなくて、そんなつもりもなかったので、慌ててフォローしようと口を開く。

カ「いや、なんていうか…足、大丈夫？」

見ればかかとが赤くなって靴擦れしてそうで痛々しい。

カ「痛かったら俺に捕まって。…行こ、」

腕を差し出して、もう見えているAのマンションを指さす。一歩踏み出すとすぐに顔をしかめたAは、おずおずと俺の腕を掴んでゆっくり歩き出した。




つづく

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