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どこか斜に構えて、一歩引いている感じだった先輩は、いまその部分をもっと尖らせてなおかつ逆の見方もできるようになっている。どこにいる先輩も、どの先輩も掴めなくて、それが寂しい。
すべての行動に言葉で説明ができるような理由があって、常に深く考えている。少なくともわたしにはそう見えて。
大学に入ったときの自由な先輩と少し重ねて見てしまう。もちろん、あのころよりずっと人間として成熟している。魅力的なひと。いままで生きてきて、好きだと思ったのはきっと先輩だけ。
手の届かないところにいってしまった喪失感はあるけど、それ以上に人間として興味があるので結局楽しいのかもしれない。
『今の先輩、っていうかカンタくんのこともっと知りたいと思ってるんだけど、』
ま「…じゃあとりあえず、受け入れるしかないんじゃない？」
『今の先輩を？』
ま「うん、Aを甘やかすひとってことで」
『甘やかされてんの、わたし』
ま「俺にタピオカ買ってくれたことないからね、カンタさん」
『・・・』
それだけ言うとまんずはキッチンをでて行ってしまった。甘やかされてんの。わたし。
気を遣われている、って思っていたけどそれって言いかえると、…そうなるのかな。
Ｐ「Aちゃん、ただいま〜 あ、餃子だおいしそう」
帰宅したＰさん先輩は冷蔵庫から冷えたお茶を出してキャップをひねった。どこかほっとしている自分がいる。
『Ｐさん先輩、』
Ｐ「ん？」
『わたし、』
このままここで甘やかされて生活したら、きっと、自然に、すぐに、深く、また、好きになっちゃう。
けど。
『頑張って餃子焼くので！！』
Ｐ「…え、あ、うん。…気合すごいね」
むん！と鼻息荒くコンロに火をつけるわたしに、頭にハテナマークを浮かべたＰさん先輩は去っていく。わたしには彼のような才能もない。わたしのする努力も、彼と並ぶとかすんでしまうような、圧倒的なチカラ不足。ずっとそう、でも、できなかった勉強も、外見を変えることだって、できた。
彼氏だって、頑張ればできる。
いままた先輩のことを好きになったら迷惑をかける。だからしっかり、後輩としてお手伝いしよう。きちんと、距離を置いて。
好きにならないように別に好きな人をつくるって、もうそれ好きじゃん。
この時それに気付けていれば、もっと単純な話だったのかもしれないけど。
つづく
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りい(プロフ) - 個人的に気持ちに余裕がなくて趣味を疎かにしていて、久しぶりに占ツクに来て、まっさきに学パロを拝見しました。社長室さんの小説、やっぱり好きです。素敵な作品を、癒しをありがとうございます！ (2019年9月23日 4時) (
レス) id: 23552ed598 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - ちひろさん» コメントありがとうございます！素敵な感想、本当に嬉しいです〜ノリノリで描いていったというよりは、すこし苦しみながらできあがっていったので、幸せを感じていただけたことを心から感謝します。ひみつのほうもぼちぼちやっていますのでまた読みにいらしてください〜 (2019年7月27日 22時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - 完結おめでとうございます！今更ながら、ひみつからきて読ませていただきました。もどかしい青春が詰まっていて、社長室さんの描かれるカンタくんととみなが先輩がたまらなく大好きです。とてつもない幸せに包まれました。ありがとうございます。 (2019年7月26日 11時) (レス) id: 04f6d975f4 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じょん、さん» コメントありがとうございます！学パロで終わらせておけばよかったのに大風呂敷をひろげて２に続きまして、リアルタイムで呼んでくださった方にはご迷惑をおかけしました…！短編のほうは地道にやりますので、またお暇なときにでも覗いてやってください！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - 名無し9253号さん» お付き合いくださりありがとうございました！ (2019年7月5日 0時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：社長室
| 作成日時：2019年6月5日 11時
