5 ページ5
語尾を区切って、怖い顔でみてくる富永先輩に、肩を竦める。
『…う、…はい、』
ト「それこそカンタに教われば?カンタのこと好きなんだろ?」
『・・・・・・は??????』
湿度の高い暑さに、頭がおかしくなってしまったのだろうか。富永先輩は、持っていた扇子をパチン、と閉じると、その先端をわたしに向けてくる。おやめください若様。
ト「Aが、カンタ、を、」
『わたしが、…佐藤先輩を、?』
ト「好き」
『…すき』
ト「そう、」
まっさかー、といいながら背中に冷たい汗が流れて身震いする。冷や水を浴びせられたみたいに、正気になって。まるでわたしが、ずっと正気じゃなかったみたい。
『…なるほどなるほど』
自分をそんなにイヤな奴だと、思いたくはないけど、まさかわたしは佐藤先輩との関係を断ちたくなくて、ここに通うのだろうか。
『…そんなあ』
ト「なに」
『わたしは富永先輩も好きです』
ト「ああうんありがとう」
『ッチ!育ちいいな!』
ト「テメーはガラわりぃな」
ぐりぐりと頭をげんこつで押されて逃げる。なるほど、なるほど。
わたしもみんなと一緒で、佐藤先輩のような優等生が、タイプだったとは。
『…なんかおもしろくない』
ト「カンタが好きな自分?…まあ、…もう少し、カンタワールドに入れば、分かる」
『どこかにある?おもしろみ、』
ト「べつにいいけどタメになってね?」
『なってない』
ト「それだよなってんだよ」
『すみません、んで、…カンタワールド、って…』
ト「入れるかわかんないけど」
何かを考えているらしい富永先輩は、一瞬悲しそうな顔をしてからいつもみたいに悪い顔をして笑った。
『…そうですか』
まだ納得はできないけど、佐藤先輩になにかあるなら、それを知りたいなあ、ってただ、漠然と思った。
つづく
173人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» お気遣い本当にありがとうございました。更新は未定ですが、眠っている短編からアップしていこうと思っています、その時はよろしくお願いします。 (2020年1月8日 22時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - お気づきになったみたいで良かったです(^^)社長室さんの書く作品大好きなので、また作品上がるのを楽しみにしてます(^^)! (2020年1月7日 10時) (レス) id: a9d9714e3d (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» コメントありがとうございます。インスタには載せておりませんので無断転載になります。じゅんりさんのコメントでアカウントも把握することができました。ありがとうございます。放置ぎみになっていたところにわざわざコメントいただいて感謝です。出来る限り対処します (2020年1月6日 23時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - 社長室さん初コメ失礼します。インスタに、こちらの学パロ載せたりしてませんよね?無断転載されていると思います。アカウント名など、もしお知りになりたい場合はお教えします。私もいち書き手、いちファンとして許せないので不適切アカウントとして報告しておきますね (2020年1月3日 22時) (レス) id: 035108e004 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます!終わるとみせかけて終わりません、すみません!よろしければもう少しお付き合いください〜 (2019年5月28日 13時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:社長室 | 作成日時:2019年3月25日 23時