学パロ

今年もプール ページ40

先輩の最後の大会が終わるまでは邪魔しない、と自分で決めてお付き合い後もちゃんとしたデートには行ってない。めっちゃ忙しい先輩に、こちらからお誘いすることはできなくて。
でも、ひとつだけ。勇気を出してお願いしたことがとうとう今日、実現する。


『晴れてよかったー！』

カ「おー、天気いいな」


それは、プールに行きたい、ってこと。
思い返せば去年は、付き合ってもいないのにあんなにべったりくっついて流れるプールで遊ぶとか、ちょっと頭がおかしかったんだと思う。付き合ってしまった今、わたしは水着姿を見せるのがものすごく恥ずかしくて、ワンピースみたいなパーカーを着てる。くっついて浮き輪使うとかも、考えただけでのぼせそうで出来る気がしない。
そしてそれを、先輩に指摘されたら、と思うと気が気じゃなくて。朝からずっとそわそわそしてるし、着替えを終えて合流した今、ドキドキはピークを迎えている。


カ「荷物ここに置こう」


先輩は去年より筋肉がついて、がりがりで薄かった体が、ほんの少し大きくなった気がする。行きたいって言ったのはわたしなんだけど、いろんなことが重なって、なんかもう、もはや帰りたい。


『えっと、先輩も日焼け止め塗ります？』


シートに座って荷物の中から小さなボトルを出すと、先輩に尋ねた。家を出る前に塗ってるけど、もう一度焼けやすい首まわりに塗っていると、パーカーのフードをくん、と引っ張られる。


カ「…ナニコレ。」


『ぐえ、苦しいんですけど！』


カ「なにこれって聞いてんの。これ着たままプール入るの？脱ぎなよ、」


くん、くん、ってパーカーを引かれて、やめてやめて、って笑う。
先輩は普通にかっこいいのに、行動が幼いというか甘えん坊というか、


カ「去年こんなの着てなかったし」


『…そうだったけ？』


カ「去年はかわいかったなー」



先輩は、わたしからぱって手を離してペットボトルのお茶を飲んだ。暗に今はかわいくないって言われたような気がして、しゅんとする。
去年みたいに、勢いで、とか、怖くてできない、もん。


『プール、入るとき脱ぎますよ、』


テンションが下がったことを笑顔でごまかして日焼け止めを塗るために胸のジッパーを下げると、今日のために買った新しい水着が目に入る。あーあ、単純に、…かわいく、なりたいなー。




つづく

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