３３ ページ33
カンタside
カ「だってAずっとそっけないんだもん」
ト「そうやって距離感じてほったらかしにすっからだろ」
カ「…だって…、」
ト「いいのかよ？…その一年とキスしたり、それ以上とかも、」
カ「わああああ！」
ト「うるっっっっさ！やば！今手ぇでるとこだった」
眉間に皺を寄せて苛ついているトミーを無視して、真ん前にどすんと座ってうつむくと、大きなため息を吐いた。ちょっと。ファイティングポーズとんのやめて。
カ「…どうしよう」
ト「しらねーよ。まず聞けば？彼氏できたの？って」
トミーはだるそうに笑ってる。聞けたら苦労しないんだよ、っていうか、彼氏です。って笑顔で言われたらどうすんの。マジで悲しくない？いや、そういうもんか逆に。
…えっ、こわっ。
予鈴が鳴って暗い顔で慌てて屋上から去る俺を、トミーは静かに笑って見ていた。
『佐藤先輩？』
部活前に職員室に寄って、そこから体育館に向かう途中Aに会った。最近ずっとそっけなかったのに、今日は機嫌がいいのか、柔らかく微笑まれると、正直嬉しくてなんにも言えなくなる。
カ「おつかれ、A帰るの？」
『いや、ちょっと図書室で勉強していこうかなって。その前にコンビニに、』
少し先に客が少ないコンビニがある、裏門の方向を指さしたAは、確かにスマホと財布しかもってない。なんだろ、なんかA、また顔変わった。大人っぽくなった…？
もっと話してたくてゆっくり歩くと、同じ歩幅で歩いてくれることに、感動する。
カ「ふーん、…あのさ、」
『あっ、』
Aがなにかを見つけて背筋を伸ばした。その視線の先に目をやると、あの、一年。
ぞわぞわぞわ、って悪寒がして奥歯を噛む。
『あ、じゃあわたし行きますね、また！』
カ「…うん、…また」
満面の笑みで、向こうではなく俺に別れを告げて、そいつのところに走っていくA。すべてがスローモーションで再生されているみたいな感覚。
あの一年とAが並んで去っていくところを見ていられなくて、拳を握りしめて体育館に向かった。
あいつより自分を選んでほしいなんて思いたくないのに、どうしようもない独占欲が胸のうちで暴れて、爪を噛みながら歩いた。
つづく
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» お気遣い本当にありがとうございました。更新は未定ですが、眠っている短編からアップしていこうと思っています、その時はよろしくお願いします。 (2020年1月8日 22時) (
レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - お気づきになったみたいで良かったです(^^)社長室さんの書く作品大好きなので、また作品上がるのを楽しみにしてます(^^)！ (2020年1月7日 10時) (レス) id: a9d9714e3d (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - じゅんりさん» コメントありがとうございます。インスタには載せておりませんので無断転載になります。じゅんりさんのコメントでアカウントも把握することができました。ありがとうございます。放置ぎみになっていたところにわざわざコメントいただいて感謝です。出来る限り対処します (2020年1月6日 23時) (レス) id: 4147535b1c (このIDを非表示/違反報告)
じゅんり(プロフ) - 社長室さん初コメ失礼します。インスタに、こちらの学パロ載せたりしてませんよね？無断転載されていると思います。アカウント名など、もしお知りになりたい場合はお教えします。私もいち書き手、いちファンとして許せないので不適切アカウントとして報告しておきますね (2020年1月3日 22時) (レス) id: 035108e004 (このIDを非表示/違反報告)
社長室(プロフ) - おかきさん» コメントありがとうございます！終わるとみせかけて終わりません、すみません！よろしければもう少しお付き合いください〜 (2019年5月28日 13時) (レス) id: 37f3407064 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：社長室
| 作成日時：2019年3月25日 23時
