学パロ

１６ ページ16

カンタside



『貴重なお時間いただきまして、すみません』


Aのシャツの胸元が危うくて、こんな自分知らない、と否定しまくる。全然見たくないし。さいっあく！もう！
昨日も徹夜でゲームしてたから、眠いせいだ。そうだ、それしかない。暗い部屋でのめりこむからだ。シャツのボタンから見える白い胸のカタチが、気になる、それだけ。
…。
アカーン！

思いっきり顔を逸らしてから、早くいこ、と声をかけて図書館にはいる。建物のなかは静かでエアコンが効いていて少し、冷静になった。



ガチガチ、ガチ。


深夜、暗い自分の部屋。画面を見続けたせいで目の奥が痛む。部活、塾、ゲーム、と繰り返す俺の生活のなかにA、っていうジャンルの時間が爆誕。部活終わり、裏門で待っててくれて一緒にアイス食ったりマック行ったりＣＤショップ行ったり宿題したり。
鼻先に、しゅわしゅわするなんちゃらシャワーとかいうアイスをつけて、きょとんとしたAを思い出して、グラスの麦茶をぐっとあおる。麦茶を飲んだのに、一緒に食べたアイスの甘ったるい感覚がよみがえって、生唾を飲み込んでクーラーの温度を下げた。


目の前の画面の中には自分が動かす、このゲームの主人公。
デーモン、ゴーレム、このゲームのなかの俺は工夫すればなんだって倒せるけど、現実ではいっこ下の女の子に振り回されて、バカみたいにその子のことばっかり考える。まるで世界が、Aとそのほか、みたいな感じ。
そんな調子でいるから、ゲームにのめり込む熱が冷めてしまい、そっとコントローラーを置いてベッドに倒れ込む。


カ「…あー」


頭に浮かぶのは、
宿題を終えたらプールに行ってみたい、と笑っていたA。俺のスマホにはサマーランドのページをブクマ済み。俺とでいいんかなあ、…いや普通に女子の、それこそクラスの、友達と行くってことかなあ…、
でも友達あんまいないって言ってたし。
まさかトミーと、…


いやいやいや、まさか


でももしそうなら、俺も行くって言えば、いいよなあ、


カ「…誘う、かあ」

枕から顔をあげて、もう何十回も見たサマーランドのページをまた開いて、そんで閉じる。
どうしたって浮かんでくるのは、プールサイドに立つA、


カ「まぶし、」


目がつぶれそう。真っ赤な血を流して潰れる目を想像して、体を支配する熱を逃がしてやりすごした。








つづく

１７→←１５

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す