学パロ

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カンタside




＿＿＿休憩終わり。集合！＿＿＿



飲んでなかった水筒を傾けて水分をとると、氷が当たる音がする。パチン、と蓋を閉めて床に置くと、顧問のところに走った。



Aが、いきなりお化粧したり髪型を変えたりしたときから、うまく接することができなくなった自分が、気持ち悪くて仕方ない。女の子っていうのはすごい。ものすごく変わる。
もっさもっさのAが、急に変わっていって、その速度感についていけなかった。結果があれだ。

お祭りのときのAを思い出して、体温が上がる。


カ「…、」


ボールをキャッチしそこねて、体育館の隅まで走って、ため息。
浴衣姿のAが振り向いたとき、息が止まるかと思った、…とか死んでも言いたくないセリフだな、生きてるけど言うけど。でも、ほんとうに、そうだった。嫌悪感すら覚える。自分がドラマや映画でよくある、胸のときめき、とか息を飲むような瞬間、とかを経験すること。
なんでいま、恋愛で、なんで、いま、A、…相手に。


＿＿＿カンター、呼ばれてる、＿＿＿


カ「…、おー、わかった」


ボールを持って二年が集まっているところに走ると、いまはもう考えるのやめよう、と思った。



いや考えたくて考えてるわけじゃなかった。
こびりついてはなれない、雨の匂いと、Aの、濡れた顔。
ぐ、っとお腹に力をいれて耐える。
ああ、ほんとうに、最悪の気分、だ。






ト「おう」

カ「おつかれ」


ガソリンスタンドでバイトしてるトミーを、公園で音楽を聴きながらコーヒー飲んで待っていた。遠くから、ザ、ザ、ってかかとをひきずって歩く音がして顔をあげると、トミーが手をあげている。


夏休みはあと二週間くらい。
宿題のノートみせて、と言われて待ち合わせた。


カ「貸すのいいけど、見てもだめだよ。丸写しはできない。今回は自分でやる系が多い」

ト「そうらしいな。…あー、ウザすぎ。なんでそんな意地悪してくんの、マジで」


俺のノートをぺらぺら見て、すぐに閉じたトミーは、空を見上げてお手上げ状態。忘れました、とかも通用しないからな。小学生じゃあるまいし。





つづく

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