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2人は勢いよくジョーを見た。

ジョ「あいつを見た時、なにか感じなかったか。」

アッ「私達とは違う雰囲気を持っているとは…」

ジョ「あいつは特別なんだ。気づかなかったか?何年か前のリクルーティングにあいつは毎回来ていた。俺たちにリクルートされるためにだ。」

苦虫を噛み潰したような顔でジョーは続ける。

ジョ「やっとリクルートされた時、俺達にはもう時間がなかった。もう俺達に会えないっつうあいつの気持ちは、ヴィランズになるには十分だったんだ。」

マル「…Aは元人間なんだね。」

マルフィは何かに気づいたようにぽつりと呟いた。

アッ「だったらなんだ?スキャターだって元人間だ。今更それを知ったところで何も…」

言い終わらないうちに、マルフィが口を開く。

マル「彼女には、プリンセス側の力もあるということじゃないかな?」

アッ「…こんなに長く私達と一緒に居て…か?」

マル「それくらいの理由がないのに、ジョーが私達にこんな話を持ちかけるとは思わない。違うかい?」

さっきとは違う、冷たい眼差しでジョーを見る。

ジョ「流石だなぁ。」

せいかぁいと気だるげに拍手をする。

アッ「彼女は…Aは、人間界に帰す必要があるかもしれないと?」

ジョ「もし、まだキラキラした心が残ってんなら、そうなるんじゃねぇの?そんなのをこっちに置いとけねぇ。」

アッ「止めないのか。」

ジョ「…」

アッ「仲間というのは今までよく分からなかったが、Aは特別なんだろう。」

黙るジョーに、畳み掛けるように言葉をぶつける。
代わりにマルフィが話し出した。

マル「キラキラした心かぁ…まだ残ってると思うよ。だって、アップルが仲間とか言い出しちゃうくらいだからね。」

アッ「!」

それはヴィランズには無い気持ちの動きだった。

マル「それを消しちゃおうって訳なんだろう?ジョー。」

そう言ってマルフィは目を細め、ゆっくりと微笑む。
それを見てジョーはニヤリと笑った。



私なりに考えた。どうしたらAは完全に悪に染まるだろう。
しかし、いくら考えても答えは出なかった。
あの可愛らしい笑顔が浮かび上がり、完全なヴィランズになるなんて不可能なのではと思わせる。

アッ「それならいっそ…ずっとそのまま眠ってくれ。」

特別なリンゴで作った特別なアップルパイ。
1口食べれば優しい毒が包んでくれる。

今までで1番邪悪な気持ちが、アップルポイズンを蝕んでいた。

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設定タグ:ヴィランズ手下 , 短編集 , ヴィランズ   
作品ジャンル:ファンタジー
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ラム - 続きが気になる (2020年5月12日 23時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまレモ | 作成日時:2020年3月10日 20時

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