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もう二本、足入りますか? ページ5

A『また返事無し、か…』

私は部屋のドアの前でため息をつく。
この部屋はあのアースラの1番の手下、エイトフットのジョーの部屋。
ただ、1番であるがゆえ、彼にはたくさんの仕事が振り分けられ、多忙なのだ。
そのせいで、リクルーティング中も欠伸をしたり、だるそうにしていることが多い。

それはいつもの事なのだが…

最近は特に部屋から出てこず、書類の整理や、人間との契約についてまとめていることが多い。
声をかけても返事さえなかったりする。
たまに顔を合わせるたびに濃くなっていく彼の目の下の隈は、Aを心配させるには十分すぎた。

いくら忙しいとはいえ、ずっと顔を見ないと不安になる…
そんな彼のため、なにか手伝うことがないか聞きに来たのだが…

A 《…もう勝手にはいっちゃお》

うんともすんとも言わないドアに嫌気がさして、ガチャりとわざと音を立てて部屋に入る。

ジョ「…」

薄暗い灯り、散らかった部屋…そして難しい文章が書かれた書類に埋もれるようにして、ジョーは机にむかっている。こちらに気づいてはいないみたい。
少しムッとして彼に近づく。そして、

A『…ジョー』

ジョ「おわっ!?」

余程びっくりしたのか、ジョーは飛び上がるように驚く。

ジョ「Aかよ…驚かせんな。勝手に部屋入ってきやがって…」

A『ちゃんとノックもしたし、何度か声もかけました。』

ジョ「マジか。わりぃ…全然気づかなかったわ…これ、今日中にアースラ様んとこに届けねぇといけなくてよ。」

そう言って数十枚はある書類をヒラヒラと振る。

A『大変だね…なにか手伝うことない?少しでも楽させてあげられたらと思ったんだけど。足二本くらいなら貸せるよ?』

ジョ「ははっ…いや、もうほとんど終わったから心配ねぇよ。」

そう…としょんぼりした私に、あーでも、と彼が続ける

ジョ「部屋の掃除、手伝ってくれるか?最近できてねぇんだよ」

A『分かった、任せて!』

張り切って床に散らばった書類に手をつけた。



A『…終わったぁ〜』

黙々とふたりで片付けをし、歩くのも一苦労だった部屋はあと数人座れるほど綺麗になった。
少し、部屋が明るくなった気もする。

ジョ「Aが手伝ってくれて、すげー助かったわ」

ありがとうな、と普段見せない笑顔を向けられ、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
いつもはお兄さん的存在の彼の、そんな一面を見られるのなら、足になるのも悪くないかな…なんてね。

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設定タグ:ヴィランズ手下 , 短編集 , ヴィランズ   
作品ジャンル:ファンタジー
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ラム - 続きが気になる (2020年5月12日 23時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまレモ | 作成日時:2020年3月10日 20時

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