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紅茶の味 ページ11

A『ジャックの入れた紅茶が飲みたいなぁ…』

テーブルに突っ伏して、ジャックにねだる。
最近、ミスターにお手伝いとしてたくさんの仕事を任されていた私は、ほっと一息できる時間が欲しかった。

ジャ「僕が入れた紅茶を独り占めだなんて…贅沢だよ?でも、ちょうど新しい紅茶を仕入れたから特別に入れてあげる!」

なんだかんだ言いながらも、紅茶を入れてくれる。
彼の入れる紅茶はほんのり甘くて美味しいのだ。
彼の仕える女王様は、いつもこんな紅茶を飲んでいるのだろうか。
今度入れ方を教えてもらおう。

ジャ「はい、どうぞ〜」

A『わぁ…!綺麗!』

可愛らしいティーカップに注がれた紅茶には、薔薇の花びらが浮かんでいる。
その形がハート型に見えて、ジャックの器用さに感心する。

ジャ「いい香りでしょ?ちょっとでも癒されたらいいなと思って!」

A『ありがとう!女子力高いなぁ…流石エンターテイナーだね』

ジャ「そんなに褒めたってもう何も出ないよ?」

口ではそう言うが、その表情はとても嬉しそうだ。
冷めないうちにひとくち紅茶を飲む。
しかし、いつもと違う味に不思議に思い、

A『今度の紅茶は前のより甘いんだね。私はこの味好きだけど、ジョーとかは苦手そう』

ジャ「え、そうかな…?あ、」

茶葉の袋を確認したジャックは、何かに気づいた顔をしたが、Aは気づかなかった。

ジャ「そっか〜!じゃあイタズラして、砂糖も入れてリンゴに出してやろ!」

A『うわー…怒られても知らないからね?』

ジャ「打首にされることに比べたら怖くないさ!」

A『そんな明るく怖いこと言わないでよ…』

ごめんごめん!と明るく返し、ジャックは自分の部屋に向かった。



ジャ「これでよし…っと。」

ワンダーランドに戻ったジャックはこっそりと紅茶の茶葉を棚に戻して、ふぅ…と息を着いた。

ジャ「女王様にはバレてないみたいで良かった…まさか魔法がかかった方の紅茶を持ってっちゃうとは僕もドジだな!」

もしバレてたら首をちょんぎられてたよ!
今度は間違えないよう、いつもの紅茶を手に取る。
どんな魔法か知りたい?それはね…



自分が相手に想う気持ちで、味が変わる魔法。



まさかAが味の違いに気づくとは思わなかった…
でも、甘い紅茶の意味までは知らないだろう。
そして、僕自身もこの気持ちを知らなかった。


ジャ「…俺、Aのこと好き…なんだなぁ…」

そう呟いて、ハットを深くかぶり直した。

優しい毒→←帽子?それとも



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設定タグ:ヴィランズ手下 , 短編集 , ヴィランズ   
作品ジャンル:ファンタジー
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ラム - 続きが気になる (2020年5月12日 23時) (レス) id: 53f56e15b5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あまレモ | 作成日時:2020年3月10日 20時

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