【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ45)

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彼の過去1 ページ45

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レストランでのディナーを終えてホテルの部屋と来ると、彼が自分を求めるようにキスをしてきた。そのままベッドに雪崩れ込みそのまま抱かれてしまった。明日も普通に仕事があるというのに、容赦のない彼。

何度目かわからない行為を終えて、二人でお風呂に浸かっていた。

『疲れた…』

「無理させたな」

『ほんとですよ。一回だけって言ってるのに』

「悪かったよ」

《悪かった》と謝る彼だがその顔には反省の色がない。それでも、許してしまう自分はやはり彼に甘いようだ。

そんなことを思いながら、彼の胸元に背中を預けると静かに語り始めた。

「俺には警察学校時代の仲の良かった同期生達が4人いたんだ。警察学校を卒業してからは、配属先も皆違ったから会う機会はあまりなかったが」

『…』

「けど、一人は捜査中の交通事故で、二人は爆弾解体中に、最後の一人は一緒に組織へ潜入していたが身元がバレて…全員殉職した。大事な人達があっさりいなくなって…やりきれない思いだった」

『……』

「そんな思いから、仕事での立場上もそうだったが、仕事と割り切り大切な物は作らず、一人で生きていこうと思った。………その人がいなくなっても辛くならないように…その方が楽だから…それに自分だけ幸せになっていいのか…」

静かに過去について語りはじめ、その間なにも話さず、彼の手を強く握りながら静かに話を聞いていた。始めて知った彼の過去に胸がきゅっと締め付けられるように傷む。淡々と語る彼だったが、話を途中でやめてしまった。不思議に思い振り返れば静かに涙を流していた。驚きから目を見開く。

こんな彼は初めてだ。時々影のある表情をしていた時があったが、それは彼の過去が関係していたようだった。自分では力不足かもしれないが、今守ってあげられるのは自分だけだと思い、余計な事は言わず、正面を向くなり静かに抱き締める。

すると、自分の思いに答えるように彼が背中に腕を回し、きつく抱き締め返してきた。