【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ19)

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朝の一時ページ19

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-降谷零 side-

莉子と甘い時間を過ごした後に、親への挨拶や、引っ越しの事など近い未来の話をした。

莉子の両親は既に他界しており、祖父母に育てられた事を知った。同じ境遇なのかもしれないと思い、自分も同様に両親は他界しているなど自分の幼少期について莉子に伝えた。すると、自分に抱きつきながら、自分を支えたい事、まだ見ぬ家族の事などを話始めた。莉子自身も両親が他界して辛い想いをしたはずなのに、自身のことよりも自分の事を心配するその姿が、あまりにも健気で思わずこちらも抱き締めてしまった。

(俺だって莉子の事をちゃんと支える。莉子の側にもずっといる。いつか授かるであろう家族も含めて…)

言葉には出さないがそんな事を心で強く思いつつ、その日は眠りについた。

『零さん、起きて』

朝、名前を呼ぶ声と、体を揺すられる刺激で目を覚ました。カーテンから溢れる太陽の光を眩しく感じながら薄く目をあけると、目の前には自分の愛しい人。掠れた声で朝の挨拶をした。

「おはよう」

『おはようございます、朝ごはん出来てますよ』

「ありがとう」

(久しぶりにゆっくり寝たな)

心地よい怠さに襲われつつも起き上がり、ベッドの下に落ちている服を拾い上げて身に付けてから顔を洗いに洗面所へと向かった。着替えなどの準備を終えてリビングに戻ると健康的な朝食がダイニングテーブルに並べられていた。早起きして作ってくれたことが見て取れた。キッチンで洗い物をしている莉子の後ろに回り、軽く抱き締めて髪の毛に顔を埋める。

『わっ！れ、零さん？！』

「朝食、ありがとう」

『んんっ！み、耳元で言わないでっ』
　

耳元で朝食のお礼を囁くと甘い声を漏らしながら文句を言ってきた。可愛いその姿にぞくぞくするのを感じるが、お互いこれから仕事に行くためなんとか理性を保つ。

その後洗い物を終えた莉子と朝食を食べてから今度は自分が洗い物を買って出た。そろそろ時間なのか仕事を行く準備を始めた莉子に視線を向ける。

「そろそろ行くか？」

『はい、歩いてだと少し時間が掛かるので…』

「俺もこれ、洗い終わってからポアロ行くし、職場まで乗せてくよ」

『え、本当ですか？ありがとうございます』

「それくらいいいよ。少し待ってくれ」

『はい！』