【降谷零】走り屋なんて嫌いです Ⅱ (ページ14)

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憩い1 ページ14

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(えっと、鯖…鯖………あった！)

仕事終わり、スーパーの中を歩きながら鯖を探していた。今夜のメニューは鯖の味噌煮とごぼうサラダに、ご飯とわかめと豆腐の味噌汁にしようと考えていた。

-数日前-

彼から連絡がないまま3週間が過ぎたある日、いつもと同じように仕事をこなし、昼休憩をしている時に着信があった。画面を見たら非通知からで、もしかしたら彼かもしれないと期待しつつ電話に出てみると、ずっと聞きたかった声が自分の耳に響く。

『もしもし』

「もしもし、俺だ」

『あ、零さん！色々聞きたい事が「2日後、やっと家に帰れそうで」』

『…うん』

「莉子が良ければ、ご飯を作って待っていてくれたら嬉しいんだが…」

『私が作って待ってていいんですか？』

「頑張って練習してるんだろう？」

『は、はい！待ってます！』

「楽しみにしてる。じゃあまた」

『はい、気を付けて』

数日前、彼から連絡が入り、今日家に帰るからご飯を作って待って欲しいとお願いされ、今に至るわけである。必要な物を買い揃えて彼の家に向かう。歩いて向かった事もあり、少し時間が掛かってしまったが、18時過ぎには家につく事が出来た。

彼から貰った合鍵を使い、生活感の無い家の中に入る。そのままキッチンへと行くなり、練習をしたメニューを作っていく。

1時間程して、ある程度の料理を完成させる事ができた。後は、鯖の味噌煮を煮込み終えれば完成となる。19時を過ぎてカバンの中の携帯の画面を見るが彼の名前はなかった。本当に帰って来るのだろうかと考えつつ鍋の火を止めた。

(なかなか上出来かも)

その時、玄関の方からドアが開く音がして、直ぐに彼が帰ってきたのがわかった。リビングを出て玄関の方へ駆け寄ると、疲れきった表情の彼が靴を脱いで家に上がるところだった。

『零さん、おかえりなさい』

「…ただいま」

疲れてる彼を出迎えたら《ただいま》と言って自分を正面からキツく抱き締めてきた。

『お仕事お疲れ様でした…お風呂に入ってきますか？それともご飯？』

「もう少しこのまま」

お風呂に促そうとしたらもう少しと言って首筋に顔を埋められたまま、先程よりもキツく抱きしめられる。普段、様々な事をスマートにこなす彼がこんなにも甘えて来るのは正直珍しく、仕事がかなり大変でハードだった事が見て取れる。

前回はRX-7、今回は彼を労ろうと彼の大きな背中に腕を回し抱き締め返した。