scene.93 ページ44
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「ここ、かな、」
台詞の練習をしていたソクジンくんを後ろから見てた私がいた辺り。
タオルハンカチを引いてそこに座る
ブーッと携帯が震えて、画面に助手くんから仕事の連絡通知があって。なんでか分からないけどそこでふと思い出したのは
「あ。」
メール……昨日来てたんだった、ソクジンくんから…!
今日の講義のことを考えてて手一杯で返信できてなかった
技術の発達で多少の雨の中でも開けるようになった携帯を開き、メールに目を通す
To. A
From. キム・ソクジン
__
ライブはどうでしたか。アミたち、最高だったでしょう?僕の弟たちも最高だったでしょう。僕はとても幸せな人間です。
でも何も知らせずにAが来たのでいつもの何倍もミスりそうになりました。
ソクジニは怒ってます。プンプン。
「……あ、」
プンプン、って…(笑) その表情がなんだか幼く可愛らしく思えて、そっか、アイドルだからか、と納得する
「凄いアイドルになっちゃったねー…ソクジンくん。」
羽を広げて飛んでいってしまった
私はカメラを起動させて1枚写真を撮る。
___
To. キム・ソクジン
From. A
__
私たちの最初は“ここ”からだったよね。あの時のまだ名もなき白い鳥である貴方が、羽を広げて白鳥になったのを、心から嬉しく思います。
そして、
1人で湖面に立つのではなく、周りに数えきれない数の白鳥たちに囲まれて群れになり、はぐれることなく羽ばたいているのも、ちゃんと見れてよかったです。
__
「ソクジンくんは、白鳥だよ……」
数年前の自分の言葉。あの頃首を傾げてたソクジンくん。
メールに今撮った雨の中の大学敷地内の写真を添付して送って画面を閉じた
「…変な雨、(笑)」
降ったりやんだり。
時々晴れ間も出てはすぐ消えて。まるで人生のよう
何分そこにそうしていたかな。恐らく40分以上はそこにいた
あの時は美しく咲いてた百合が枯れて球根になっていて、初夏にまた花を咲かせるんだろうと微笑んだその時だった_____
「ヤー!!馬鹿じゃないの!? 傘もささず無防備に…!!」
「!」
「ねぇA…!心臓に悪いからほんとぉーにそーいうとこ直してよね!!」
いきなり現れたソクジンくん
「え、」
「走ってきた、空き時間、で、電車乗って、ここまで、!!」
「心臓に悪いからやめて…」
「ヤー! Aのせいだって、ば、もぉ、おっ…!!」
切れる息のまま
「今のAに会いに来た。もう一度大人として」
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時