scene.92 ページ43
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＿＿＿＿『自分を愛することは何よりも難しいことです。』
大学構内。ちょっと大きめの講義室の壇上でマイクを持って話してるのは、まさかの私。
卒業生というのもあるし、講師として来てくれないかと頼まれて、話すのは苦手なんだけどなぁと重い足を運んだ。きっと今までなら断ってた、でも断らなかったのは、あの日ソクジンくんのステージを見たから＿＿
スクリーンに自分の作品を映しつつ、こんな自分が講師なんておこがましい、何か言えることなんて何も……と一晩以上考えて。そんな時ふと脳内によぎったソクジンくんやシュガくん、ジョングクくんたちの姿。
＿＿＿舞台に立つとまた違った表情を魅せるんだ…
今、ここで、カメラを回したい。そう思うほどに彼らの姿は美しかった。回せない代わりに、私の目にジーッとフィルムのように焼き付ける。
「…未だに、私自身、模索しています。作品を作ることが楽しみで、ただそれだけで突き進んできました。作品を作る意味や価値を語る人はたくさんいます。批判されることもあるでしょう。」
罵倒されることだって、酷評されることだって。
それでも最後に守ってくれるものは、
「他人ではなく、自分を“好き”になれずとも、認めてあげられたら、それだけで充分なのではないかな、と、最近思えるようになりました…」
すみません、若者風情が何語ってんだって感じですよね、
と頬の辺りに張り付いた髪を耳にかける
「……作品を作ることは、魂を削るように苦しみも伴います。でも、やっぱり、手放せないんです、まだ、カメラを＿＿＿＿」
まだ探してる。
あの日出会ってしまった。
真夏の白鳥に。
美しかった。あの白鳥にも勝る美しさを心が求めて、探してる
「なにかご質問あれば…」
幾人かの映像科の学生が手を挙げて質問したり、意見したり。数年前の光景は、もうここには無いのだって突きつけられた。私はもう学生じゃなくて、ソクジンくんは無名の俳優志望だったのにスカウトされて、アイドルになった青年ではなくて。
荷物を纏めて、構内をゆっくり歩いて外に出る
「＿＿＿＿雨、…」
曇り空からぽつぽつと雨が滴って地面に跳ね返る
「傘、持ってないや…」
うーん、と数秒思案して「ま、今日はカメラ機材は持ってきてないからいいかな…(笑)」
足を踏み出すとひやりと肌に水が当たった
せっかくだから寄って帰ろうかな…
初めてソクジンくんと出会ったあの場所へ
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました！ (2021年10月5日 17時) (
レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mila.
| 作成日時：2019年11月29日 12時
