scene.91 ページ42
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ジンside
『バチッ』
という音が聴こえた。
雷がそこに落ちたみたいに、そのくらいの衝撃で僕の目はある一点で一瞬留まった____
衣装替えのために裏にはけて、ふっと息を吐く。
スタッフさんが数コンマを争うように着替えを手伝い、メイクを直し……てる中僕の心の中は
____聞い、て、ない……っ!!!
聞いてないよ!!
お?
ねぇ!
「ぁああっ、!」
Aが来てるなんて聞いてない!
誰!?呼んだの!? さしずめテヒョン?!
ヤー、ヒョンに一言くらいあったもいいんじゃないの、ねぇ!
と落ち着かない心を吐き出す場所もなく次のスタンバイへと移動で
何万人という会場。後ろまでちゃんと見えてるのは嘘じゃない。後ろの、奥まで、ファンの子たちの声も、熱も、愛も、届いてるし届けたい。
毎回毎回。その思いは変わらない。
だから今日も同じように、僕の届けられる愛を配ろうと見渡した時だった___あれは、そんなに遠くも近くもない絶妙な位置の席。
大きく、ファンの子たちの手を振る動きの中で、ぼーっと1人で立つ女性が1人。ステージから見てると静止してるほど目立つのだけど、ふっと視線をやったたった一瞬。
間違いなくあの時、その女性と『バチッ』と目が合った
そして僕の目が間違いでなければあれは
「…A、」
うわ、気がついたら心臓がバクバク言い出したどうしよう。次僕のソロなんだけど!!
ぐっと胸に手を当て服を握り締める
「初めて…だよね」
僕が大学に在籍して彼女に出会った時はまだ俳優志望の青年で。
だからこうしてアイドルの僕を見られてるのは、初めてだ…
うわ、なんだ?余計緊張する、
ぐっと拳を握り締める。じわりと手汗が滲んだ
アイドルやんのかと笑われたあの時分、彼女は何も言わずにいつものままそばに居てくれた
信じよう。今までの自分を。そして仲間を。
ほぅと息を吐いてステージに出る
曲は____“Epiphany”
丹精込めて
伝われ
そう思いながら、今僕にできる最高度のパフォーマンスを。
つぅ、と首に汗が伝ってゆっくり瞬きをした先にはAがいて
僕を見て、それからふわりと百合の花のように微笑んでた
舞台裏にはける時、がくりと膝が震えて思わずそばにいたジミンの肩に手を置いてしまって
「ヒョン?大丈夫ですか!?」
「あ、ごめ、ちょっと膝が笑っちゃって…(笑)」
こんなんで情けない(笑)
でも
「んぁーーっ!」
最っ高の景色が見れた気がするよ
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時