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撮影最終日
「Aヌナ、」
機材を整理していた時に掛けられた声に振り向くと
「ジョングクくん?」
「今日、この後ヌナの時間をください。」
「え…この後?構わないけれど…」
どうかしたの?と尋ねるとにっこり笑って「デートです」と無邪気に言った
「デ、っ!?」
「あは、そんなに驚かないでください。じゃあ、楽しみにしてて!」
片付け終わるまでそこで待ってます、と去っていく
デート?
そんな、今日汚れてもいい安いパンツに安いTシャツ。髪だってこんなふうに括っちゃってるから、おろしたところで綺麗じゃない…
どうしよう、と思いつつ片付けを終えて彼の元へ行くと、
「え…」
ジョングクくんは上下ビシッとスーツでキメて、見るからにどこかのお坊ちゃんのような、洗練された格好。
「ま、待って…!私、!」
「大丈夫。これからAヌナのためにちょこっとお店寄るから、今心配してることは解決するよ」
と手を引かれてタクシーに乗せられると連れてこられたのは高級ブティック
「や、あの…っ、ジョングクくん、」
「すみません。この女性に見合う1着をお願いしたいのですが」
彼がそう言うとお店の方が幾つかワンピースを用意してくれて
「僕的にはこれかこれだけど、ヌナは?」
「ま、待って、私こんなの…っ」
「ごめん、強引なのはわかってる。でもお願い。」
お願い、と手を握られて澄んだ瞳で見つめられたら、何も言えなかった
「…1番、地味なのでいいよ、」
「ヌナらしいね(笑)」
と言いつつ、彼は薄紫色のAラインのワンピースを選んで私は言われるがままそれを着る
と
「もうお会計済んだから」
「え!?試着じゃないの!?」
「よし、じゃあ次はヘアメイクね」
「ダメだよ!お金払うから教えて!」
「…だめ。今日は僕が存分にヌナを美しくしたいの。僕の我儘に付き合わせてごめんなさいって思ってる、でも」
そこで1度目を伏せて弱々しく微笑む
「…美しいヌナに、僕は僕ができる最上の美しさを、あげたいんだ…」
きゅっと手を握られる。その手は震えていた
「……わかった、ありがとう。次はメイクしてくれるの?嬉しい、私自分じゃ全然できないから(笑)」
震える手を包み込んで微笑む
「連れてって?」
「……うわ、その仕草は反則だよ、ヌナ(笑)」
ふわっと笑う彼
どれだけ私を想って、優しく、大切に扱ってくれてるのかわかるから。そんな彼の気持ちを無下になんてできるわけがなかった
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mila.(プロフ) - xts9cp5sUjUGJbjさん» 感想ありがとうございます。私も実はこの作品が気に入ってるんです笑 この作品を愛読してくださり、ありがとうございました! (2021年10月5日 17時) (レス) id: 1554483eb9 (このIDを非表示/違反報告)
xts9cp5sUjUGJbj(プロフ) - とても…とても綺麗なお話でした。作者様の言葉選びなどがとても魅力的で、物語に吸い込まれるようでした。とても素敵な作品に出会えて幸せです。これからも応援してます、 (2021年10月1日 2時) (レス) @page50 id: a176559be4 (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - ももさん» ももさん、嬉しいコメントありがとうございます。「素敵な時間」を提供できたとしたら本当によかったです。これからも一緒にバンタンを応援できたら嬉しいです (2021年9月5日 14時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 美しい文章、と素敵な時間をありがとうございます。 (2021年8月30日 12時) (レス) id: 7a7f3f1d7f (このIDを非表示/違反報告)
mila.(プロフ) - まる汰さん» まる汰さんコメントありがとうございます。書いてから随分経ってもなおこうして読んでもらえて嬉しいです。ジンくんの宝石箱、、美しい表現をありがとうございます。なんだか染み入ります(笑) (2021年6月28日 20時) (レス) id: 488172c492 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mila. | 作成日時:2019年11月29日 12時